ジオサーフが新たに取り扱いを開始したAgEagle社の「eBee VISION」は、リアルタイムの警備監視を目的とした固定翼タイプのドローンである。この機体は元々軍事用偵察機として開発されたものであり、日本では災害時における人の捜索などで役立てられる。
eBee VISIONは、eBeeシリーズと同じく発泡ポリプロピレンをボディ素材に採用しており、非常に軽量であるのに加え、人などに衝突しても機体側が破損することで衝撃を緩和する設計となっている。その重量は1.6kgと軽く、滑走路を必要とせずに手投げで離陸し、着陸時は胴体着陸を行う。航続時間は90分に及び、長時間の警備監視が可能だ。
長時間飛行と高精度カメラで広範囲を監視
カメラ性能も非常に高く、5倍ズームの赤外線カメラと32倍ズームのRGBカメラがビルトインで搭載されている。eBee VISIONの最も特徴的な機能は、自己位置とカメラジンバルの角度や方向から撮影対象の座標を計算し、共有することが可能であることだ。例えば怪しい自動車を発見した場合、機体の自己位置と被写体の座標をモニター上に表示し、飛行モードによって自動追尾することができる。これらの情報を地上の別チームと共有することもできる。また、軍事用ドローンとして、高いセキュリティー技術が投入されている点も注目である。
他のマルチコプター型ドローンでも同様の追尾機能を持つものはあるが、eBee VISIONは90分の飛行が可能で、通信距離も20kmと長い。また、プロペラの回転音がないため、相手に気づかれにくいというメリットもある。機体は固定翼部分が外れる構造となっており、バックパックに入れて1人で運用することができる。なお、1か所のエリアを選択することで、そのエリアを固定して監視するモードも搭載されている。海外では軍事トレーニングとして実際に数十機が運用され、索敵やデータの活用方法について検証が行われている。さらに赤外線カメラを搭載しているため、夜間の運用も可能であり、追跡飛行などもできる。ただし、開発目的が軍事用で灯火装置が装備されていないため、夜間の運用には高度なスキルが必要となるだろう。
eBeeシリーズの歴史と現在の開発体制
当初、eBeeシリーズはスイスのベンチャー企業によって開発された機体であるが、その後、ANAFIなどで知られるParrot社が買収し、開発を続けてきた。しかし現在は、AgEagle社が事業を買い取り、eBeeシリーズの開発を手掛けている。これまでeBeeシリーズは精密農業や測量用ドローンを製品化してきたが、警備監視用ドローンとしての開発は今回が初の試みである。
ジオサーフが取り扱うeBee VISIONは、軍事用の技術を活かしつつ、警備監視や災害対応といった新たな用途に向けた機体であり、その多機能性と高い運用能力が魅力だ。これからの防犯や災害対応において、eBee VISIONがどのように活躍するのかが期待される。
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