新開発の「コンクリート剥落防止剤」など、スプレー缶のラインナップも拡充

 ブースでは、実際に使用しているスプレー缶の内容物の噴射見本も展示されていた。中でも一番注目されていたのが、開発中の2液混合型「コンクリート剥落防止剤」だ。「増槽」を使用し、A剤とB剤の2剤を噴射ノズル直前で混合し、補修箇所へ噴射する。混合した薬剤は数時間で硬化していくという。

コンクリート剥落防止剤の噴射見本。

 用途は、トンネルの剥落やマンションなどの鉄筋の爆裂部に対して剥落防止剤を吹き付けることによって、クラックや割れたモルタルの破片を強固に硬化させ、剥落を防止する。トンネル等で発生した不良箇所の応急補修として利用できる。トンネルの工事現場で実際に使われている剥落防止剤がドローンで使用できることから注目されているという。

 担当者は、「地下鉄などでは、終電から始発までの短時間で作業を行わなければなりません。3、4時間の間に足場を組み、作業を行い、足場を撤去する必要があります。そのような現場では、ドローンによる対策が求められており、応急補修としてニーズが高まっています」と話す。

 早期補修で使われる例としては、「コンクリート表面含浸材」が挙げられる。コンクリートは水に濡れると、表面のひび割れなどから内部に水が浸透し、鉄筋のさびが発生し劣化する。本剤を吹き付けると、コンクリート表層部に、7mm程度の吸水防止層を形成し、水の侵入を防ぐ。小さなひび割れに対しても遮水効果を発揮するため、クラックを発見した時に補修を行えば、鉄筋のさびを防ぎ、補修コストを削減できる。

コンクリート表面含浸材。左が水に濡れたコンクリート。右が表面含浸材を吹き付けたコンクリート。

 また、実際の施工例として紹介されていたのは、鉄塔の補修など、鉄部の防さび、さびの進行を抑制する「黒錆転換剤」だ。さびが進行しやすい赤さびに本剤を吹き付けることにより、科学的に安定している黒さびに転換することで腐食の進行を抑制することができる。

黒錆転換剤の噴射見本。
パンフレットに掲載された施工例。

 SABOT-3は、上方ジンバルコネクタへの取り付けにも対応しており、ドローンの機体よりも上方への噴射作業が可能になった。天井部や梁部などが狙いやすくなり、プロペラからも遠ざけることができるため、対象に近づきやすくなるというメリットがある。ただし、真上に噴射してしまうとドローン本体にかかってしまうため、ノズルは上45°までとセーフティー機能が備わっている。

 SABOT-3は、DJI正規販売代理店であるセキドでも取り扱いが始まり、一般ユーザーが購入しやすくなるという。担当者は、「今後は、実例を増やし、皆さんが安心して活用できるよう工事のひな形をつくりあげていきたいと考えています」と語った。さらなるフィールドでの活躍が今後も期待できそうだ。

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