古河産業は、建設・測量生産性向上展2023に出展し、ペイロード49kgを誇る重量物運搬ドローンを展示した。これを使って、点検や林業における資材運搬サービスを提供している。

人が運ぶ労力と時間を削減する重量物運搬ドローン

 古河産業は、DroneWorkSystemと共同で重量物運搬ドローンを開発した。一般的なBtoC向けの生活用品等を配送するドローン物流では、おおよそ5~10kgのペイロードを備えているものがほとんどだが、開発された重量物運搬ドローンは49kgのペイロードを備え、BtoBに向けた提供を目的としている。

 林業において運搬される重量物には、苗木や鹿柵の資材などがあり、重量物を人が急斜面の山道を登って運搬していたが、ドローンであれば短時間での作業が可能になる。また、同様に人が立ち入れない鉄塔の点検などでも、点検資材の運搬などに活用されているという。

 重量物運搬ドローンは、プロペラの端から端までが約2800mmとなる大型のヘキサコプターだ。プロペラなどを折りたたむことで、約1320mmまでコンパクトになり、軽トラックやハイエースなどのワンボックスカーに搭載して運ぶことが可能となる。荷物の運搬は吊り下げ式となっており、ドローンが抱きかかえる形で箱を搭載する物流ドローンに比べ、形状に捉われず、大きな資材を運べるように設計された。とくに鹿柵や点検業務で必要となる資材は、単管パイプや足場などの長物が多いという。こういったものもドローンから吊り下げることで運搬が可能だ。従来の吊り下げ式を採用したドローンでは、機体の動きや風によって荷物が振られてしまい、ドローンの飛行に影響を与えてしまうという課題があったが、重量物運搬ドローンは荷物の揺れに合わせて自動的に機体を動かす自動振り子制御機能がついており、運搬時でも安全に飛行させることができるようなった。なお、耐風性能は10m/sとしており、福島ロボットテストフィールドでの耐風試験では、15m/sの風に対しても問題なく飛行できたことを実証している。飛行時間は49kgの荷物を搭載した状態で約20分となり、これまでの活用実績では、500~600m先の現場に資材を運んだが、20分で十分活用できたという。

 古河産業は、重量物運搬ドローンを使った運搬サービスを提供している。ヘリコプターを使った従来の運搬では、1日あたり100万円を超えてしまうのに対し、運ぶ荷物や距離にもよるが、大幅なコスト削減が見込めるという。オペレーターは、古河産業の社員のほか、古河産業が立ち上げた日本ドローン搬送協会(JDTA)からも派遣している。現在は、機体を5台用意してサービスを提供している。担当者は「5月はそれほど依頼が無かったものの、現場作業が始まる7月からは需要が高く、毎日のように依頼があります。1年を通して3~11月まで飛行が可能です」と説明した。

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