この数年、国内外の様々な企業がエアモビリティの機体・サービスの開発に取り組んでいる。今回の記事では、Uber(ウーバー)、Airbus(エアバス)、Boeing(ボーイング)、EHang(イーハン)、Volocopter(ボロコプター)、Lilium(リリウム)、SkyDrive(スカイドライブ)に関する動向を中心に取り上げる。

Uber

「eCRM-003」(Uberより

 Uberは、2020年からの試験飛行、2023年からのサービス開始を目標として設定している。最初にサービスが開始される都市として、ロサンゼルス、ダラス、メルボルンが発表されている。
 現在、Uberは、自動車や自転車、電動キックボードなどを活用した、地上でのモビリティサービスの提供を国際的に行っている。それらのサービスに、eVTOLによる空からの移動を加えることで、都市部における渋滞・混雑から解放された短時間での移動の実現を目指している。
 この構想を実現するため、Uberは、Aurora Flight Sciences、Bell、EmbraerX、Karem Aircraft、Pipistrel Vertical Solutions、Jaunt Air Mobilityなどの機体開発事業者と連携関係を構築している。

左「eCRM-001」(Uberより)、右「Skyport Concept」(Uberより
UBERAIR: Closer than you think | Uber

Airbus

「Vahana」(Airbusより

 Airbusは、大手航空製造事業者としての開発力を活かし、複数のプロジェクトをグローバルに展開している。
 米国に拠点を置いている「A3」は、2019年2月に、開発中の機体「Vahana」が7分間の飛行に成功した映像を公開している。Vahanaは垂直での離着陸が可能で、滑走路がなくても離陸することができる。
 欧州では、電動型マルチコプター「CityAirbus」の開発を進めている。この機体は、完全電動型で4人乗りを想定している。2019年5月には、フルスケールの試験機のテストフライトを開始した。
 Airbusは都市部における輸送サービスとして「Voom」の展開を行っている。このサービスでは、スマートフォンのアプリを通じて、ヘリコプターの予約を行うことができる。

左「CityAirbus」(Airbusより)、右「Voom」(Airbusより
Airbus A3 Vahana eVTOL Flight-Test Video

Boeing

「Passenger Air Vehicle」(Boeingプレスリリースより

 Boeingは電動航空機開発に関する取り組みを強化している。2019年1月には、電動有人試験機の初飛行に成功した。この試験機は、Boeingの子会社であるAurora Flight Sciencesが設計・開発を行った。
 Boeingは電動航空機の開発を進めるため、パートナーシップの構築を進めている。2019年6月には、Kitty Hawkとエアタクシーの分野で連携することを発表した。10月には、ポルシェと連携し、eVTOLの開発を行うことを発表した。
 Boeingは、日本の政府機関・研究機関・企業との連携も進めている。経済産業省とは技術協力合意を締結している。Boeingは小型機だけでなく、中型・大型機の分野での電動化も視野に入れている。

左「Kitty Hawkのエアタクシー Cora」(Boeingプレスリリースより)、右「Boeing Porsche」(Boeingプレスリリースより
OUR FIRST FLIGHT: Passenger Air Vehicle

EHang

「EHang AAV」(EHangより

 2019年12月12日、EhangはNASDAQへの上場を行った。
 EHangは、中国・民間航空局から自動操縦旅客航空機サービスのパイロット企業として認められ、広州市にエアタクシーのネットワークを構築するプロジェクトに取り組んでいる。

「EHang AAV」(EHangより
EHang AAV Trial Flights Across Cities in China

Volocopter

「VoloCity」(Volocopterより

 2019年8月、Volocopterは、初の商用機「VoloCity」を発表した。VoloCityは、航続距離が約35km、最高飛行速度が約110kmで、2名の輸送が可能となっている。
 Volocopterは、航空管制や地上インフラとの連携に力を入れている。2018年8月には、ヘルシンキ国際空港でフライトを行った。9月には、ドイツ・シュトゥットガルト市で、飛行デモンストレーションを実施した。10月には、シンガポールでの飛行デモンストレーションや、離着陸場「VoloPort」のプロトタイプ初披露を行った。

左「ヘルシンキ国際空港を飛行するVolocopter 2X」(Volocopterプレスリリースより)、右「VoloPort」(Volocopterプレスリリースより
Volocopter flies for the first time in a European city

Lilium

「The Lilium Jet」(Liliumより

 Liliumは、2025年までに空飛ぶタクシーの事業化を目指している。2019年10月には、新たなテストフライトの映像を公開した。この映像では、5人乗りの機体が垂直に離陸した後、周囲を水平に飛行した。Liliumは、ミュンヘンの本社敷地内に、機体を製造するための拠点の整備も進めている。

左「The Lilium Jet」(Liliumより)、右「Jet in manufacturing hall」(Liliumより
The Lilium Jet in flight

SkyDrive

「空飛ぶクルマ」(SkyDriveより

 SkyDriveは、2018年7月に、有志団体「カーティベーター」のメンバーが中心となって設立された。現在、豊田市を拠点に、空飛ぶクルマの研究開発を進めている。
 2019年9月、SkyDriveは、第三者割当増資や助成金などを通じて、15億円調達したことを発表した。12月16日には、30kg運搬可能な産業用カーゴドローンの予約販売を開始したことを明らかにした。

「空飛ぶクルマ」(SkyDriveより
空飛ぶクルマ”SkyDrive”のある未来ー2030 Future World with SkyDrive-2030

2020年代に向けた展望

 現在、国内外で大手航空製造事業者やスタートアップが、エアモビリティの機体・サービスの開発に取り組んでいる。今年は、世界各地で飛行試験が実施されてきた。来年から再来年にかけては、一部の地域でサービスの開始や、航空管制や地上インフラとの連携、制度設計の具体化など、社会実装に向けた取り組みが加速していくことが予測される。