皆さんはじめまして、今回DJI JAPANさんが企画された「DJI AIRWORKS 2019 JAPANツアー」に参加し、レポートを執筆させていただくことになりましたイナダユウキです。

日頃は、いろんな番組やPR動画の空撮や自治体のドローン導入などを行っております。今回は、自治体さんに海外の活用事例をご紹介するための情報を得るために参加を決めました。

AIRWORKSとは、DJIが主催する商用ドローンに関するカンファレンスです。数百人の商用ドローンプロフェッショナル、テクノロジーエキスパート、および政策立案者などが参加し、ドローンの技術革新と活用についてアイディアを交換、活用事例を共有するイベントです。DJIが実施するイベントとしては最大規模のものです。

AIRWORKS 開催前日、ロサンゼルス消防による最新のドローン活用事例の紹介

イベント開催前日に、各国のメディアが参加するツアーが開催。DJIの機体を活⽤しているロサンゼルス消防がセミナーおよびデモンストレーションを行いました。

ロサンゼルス消防署に各国のメディア関係者が続々と集まってきました。

ロサンゼルス消防はDJIのドローンを積極的に活用している消防で、MAVICやMatrice 200シリーズなど複数の機体を所有しています。

まず、DJIのパブリックセーフティーのディレクター、ロメオ氏から公共安全等におけるドローンの活用についてセミナーがありました。

昨年発生したノートルダム大聖堂の火災においてのドローン活用。

プレゼンでは、どのくらいドローンが利活用されているのか、という具体的な数値が示されました。

ロメオ氏への単独インタビュー記事はこちら

ドローンを導入する警察署や消防署は増加しており、2015年から2018年の間に514%の成長率。世界で278名の人命がドローンによって救われている(2019年9月末時点)。
ロサンゼルスで起こった大規模森林火災では、16のドローンチームが600以上のミッションを行い72,000以上の映像や写真を取得し、約70平方キロメートルをマッピングしている。

ロサンゼルス消防署によるデモンストレーション

ロサンゼルス消防署には訓練用施設があり、ドローンでの捜索訓練が行える環境が整備されていました。現役の消防士による、Matrice 200シリーズの基本的な性能(赤外線&ズームのデュアルカメラ)や運用の手軽さについて解説がありました。

デモ飛行はMatrice 210を活用して、消防の周辺を飛行し赤外線(ZENMUSE XT2)および高倍率でズーム(Z30)の映像が映し出された。
ドローンの運用は、車両を改造し大型のディスプレイを搭載して、その画面からドローンの映像を閲覧。ロサンゼルスの町の様子をドローンを通じて確認し、隣の隊員から指示をうけて飛行を行いました。

次にMatrice 200シリーズに搭載できるガス検知ユニット、MUVE C360のデモンストレーションが行われた。

車の後部から発生する煙を検知するデモが行われ、アプリではどの様に表示されるかの詳細をみることができました。

現場の消防隊員よりドローンによるガス検知は非常に有用であると説明がありました。火災現場ではガスや煙がどこまで広まっているかわからないため、常に消防隊員に身の危険が迫ります。

ただ、ドローンによって現場の状況を事前に把握することにより、隊員の命を守ることができます。消防隊員の生死に直結するため、ガス検知は非常に求めていた機能であったそうです。

ZenmuseXT2との併用。
(左)表示させたいガスの種類の選択画面(右)アプリケーション下部の機体の高さや距離などのパラメーターが、今までと違い、飛行機等のパネル表示に近いデザインに変更されている

印象に残ったことは、米国の今できる技術の活用をとことん利用する姿勢を感じました。デモ飛行では消防の土地以外の場所にまで気にせずドローンを飛行させて、ズーム(Matrice 210にズームカメラのZ30)して撮影しています。同じことを日本で行えば問題になってしまうかもしれません。アメリカ社会において消防隊員がヒーローとして認識されている背景もあるのかなと思いました。また、セミナーとデモンストレーションの際には一切法律の話はなかったことも印象深いことのひとつです(日本であれば改正航空法の話など規制面の説明があると思います)。

この記事では、ロサンゼルス消防署のデモンストレーションをご紹介しました。次回は、本題のAIRWORKS 2019の内容についてレポートしていきます。