無人ヘリ(無人ヘリコプター)とは、遠隔で操縦ができ、人が乗ることができないヘリコプターのことを指す。揚力を生み出すメインのローターがひとつというところからシングルローターともいう。

背景

 日本国内においてはエンジンを動力とした農薬散布用無人機「産業用無人ヘリコプター」が、1990年代より農薬散布に活用されてきた歴史を持つ(発売は1988年)。当時の農林水産省がそれまで有人ヘリコプターで行っていた広範囲の農薬散布が、減反政策や都市化の進む社会情勢の中ではいずれ運用できなくなるとの判断から無人機開発をプロジェクトとして立ち上げ、ヤマハ発動機により開発された。

 産業用無人ヘリコプターが開発された1990年代、無人機を商用に活用した事例は世界的にもほとんど無く、産業用無人ヘリコプターは今でいうところの産業用ドローンとしての先駆けといえる。実際に、2016年の国内におけるドローン関連市場規模は353億円と見られているが、そのうち110億円は農業分野と見られている(『ドローンビジネス調査報告書2022』インプレス総合研究所より)。

役割

 エンジンを搭載した産業用無人ヘリコプターは、その大きな最大積載重量と長い飛行時間が特長となっており、近年では農薬散布だけではなく、森林の地形や立木の情報をLiDAR搭載して計測したり、物流用の無人機として活用したりと活躍の場が広がっている。

▼「FAZER R G2」で低高度から1日最大100haの森林計測を行うヤマハのサービス(2021年6月29日)
https://drone-journal.impress.co.jp/docs/event/1183614.html