一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA:ディーパ)は、産業用ドローンの普及およびドローン操縦士育成を目的とした活動を行っている。現在、DPAが定めるドローン操縦士の技能・知識認定講習基準をクリアしたスクールは全国各地にあり、ドローン産業の発展に欠かせない存在となっている。今回そうしたスクールのキーマンに取り組みや今後の展開についてインタビューを実施した。

 名古屋市熱田区で2017年10月からDPA認定スクールを展開するDS・J(ドローンスクールジャパン)愛知名古屋校。名古屋トヨペットを中心に自動車関連事業や住宅販売事業、旅行業、物流業などを手がけるNTPグループが母体となり、そのグループ企業のひとつであるNTセブンスが運営しているドローンスクールだ。「“Nice to People(人に素敵を)”をお届けすることがNTPグループの使命です。NTセブンスではこれまでにTSUTAYAやJTB総合提携店を運営する形で、お客様の生活が豊かになるお手伝いをしてきました。ドローンスクールもそのひとつとしてお客様に“素敵”をお届けすることができれば、と4年前にスタートしました」。

 こう語るのはNTセブンス営業本部長の森野隆一常務取締役。NTPグループが創業したのは、日本の自動車産業が黎明期にあった1950年代。その頃から“ルールと安心、安全”を絶対守る、というのがNTPグループのポリシーとなっている。このポリシーがDPAの持つ姿勢と一致したからこそ、数あるドローンの管理団体の中からDPAを選んだ理由だと森野氏は語る。「とくに一人ずつていねいにルールと安心・安全を教えるDPAの姿勢に共感した」(森野氏)のだという。

 そのためDS・J愛知名古屋校では、DPAのカリキュラムに沿った講習に加えて、必要に応じて受講生それぞれに合わせた補講を行うことにも重点を置いている。「受講生のニーズは千差万別。講師が受講生からていねいに話を聞く中でニーズを汲み取り、一人一人に合わせた講習を心がけている」と森野氏は説明する。

株式会社NTセブンス 常務取締役 森野 隆一氏

受講生と対話しながらの講習は接客業で培ったおもてなしの心

 名古屋トヨペット本社に併設されたDS・J愛知名古屋校の敷地に入ると、まず、巨大な練習コートに目を奪われる。ドローン2機が同時に飛行できる広さを誇り、日中はテント越しに差し込む光が明るいフィールドだ。この練習コートにシミュレーションルームや講習室が併設され、さらに、施設の中心には飛行練習を見学しながらくつろげるラウンジが設けてあり、講習の合間には受講生同士で情報交換ができる場となっている。愛知・長野・静岡エリアにトヨタ車の販売網を展開するNTPグループだけに、ドローンでもそれにふさわしい「日本最大級の施設」(森野氏)を整備したという。

 こうしたハード面の充実と共に、DS・J愛知名古屋校では講師陣というソフト面でも特色がある。現在在籍する4名の講師は同校創設時にNTPグループ5400人に対して公募を行い、応募者の中から5~6倍の競争率を勝ち抜いて選ばれたメンバーだ。それぞれ、自動車エンジニア、システムエンジニア、営業職など、グループ内のさまざまな職種のスタッフが、厳しい訓練を経て講師となっている。「さまざまな職種から集まってきたからこそ、幅広い受講生のニーズに応えることができる。また、そこに共通しているのは、自動車の販売を通じた接客業としてのおもてなしの心。決して一方通行にならず、常に受講生と対話することを心がけている」(森野氏)という。

専用飛行場

 NTセブンスは、ドローンを学ぶ環境に力を注いでいる。練習コートやシミュレーションルーム、専用飛行場、ラウンジを備えた国内最大級の施設を完備。レッスン時は、受講生2名に対し、1名のインストラクターが指導する少人数制レッスン。ドローン操縦士に必要な25種類の技能が習得できる。またドローンを操縦する女性が増えてきたことを受け、女性インストラクターも在籍。男女問わず受講しやすいスクールを目指している。
ラウンジ(左)、練習コート(右)
シミュレーションルーム(左)、インストラクター(右)

 こうした講師と受講生のコミュニケーションで生まれた絆は強い。「卒業した受講生のみなさんは、よく本校に顔を出してくださり、ラウンジでは卒業生同士、また卒業生と受講生の方々が情報交換をされています。当校で受講される方は法人、個人問わず幅広い目的でいらっしゃっていることもあって、みなさんそれぞれのドローンに対する取り組みの参考にされているようです」(森野氏)。

 NTセブンスではDS・J愛知名古屋校のほかにも、岐阜県養老町でドローンレース場を運営するほか、ゴルフ場の空撮サービスや屋根点検など、幅広くドローン関連事業を行っている。また、自治体や警察と災害協定を結んでいるほか、海上保安庁といった官公庁への講習なども行っている。「当校の取り組みを図で表すなら、ビジネスとプライベートが縦軸なら、スクールと受託事業は横軸。このふたつの軸を中心に今後も事業領域を拡大していきたい。その広さこそが受講生のみなさんに届ける素敵の大きさにつながることになる」と森野氏は説明してくれた。

DPA認定校
DS・J愛知名古屋校
〒456-0017 名古屋市熱田区尾頭町2番47号
電話:(代表)052-683-5775
講習時間:午前9時~午後5時 休校日:毎週月曜日
スクール見学や体験講習はこちらから
https://www.nt7.co.jp/drone/dsj.html

一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA)
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