2023年7月18日、エアロセンスと神戸大学は、2023年7月11日に開催されたドローンによる災害対応や緊急物資輸送の技術を競う世界大会「World Drone Competition(世界ドローンコンペ)」において優勝したことを発表した。

 同大会はIFAC(国際自動制御連盟)2023実行委員会と先端ロボティクス財団(ARF)が開催したもので、エアロセンスと神戸大学は指定されたミッションを全てクリアし、国内2チームと海外2チームの全4チーム中最高得点を獲得した(1チームは大会前に出場を棄権)。

横浜八景島を離陸するVTOL型ドローン「エアロボウイング」

 競技では災害時のドローン運用を想定し、千葉県の富津みなと公園付近で発生した災害に、横浜市の災害対策本部がドローンレスキューチームを派遣することを想定。横浜八景島から富津みなと公園まで東京湾上空16kmを飛行後、公園内に現地医療機関が設置した投下ポイントに約300gの治療薬を投下し、地面に書かれた被災者からのメッセージ(文字)を上空から判読、帰還することが主なミッションとなる。投下位置の正確性、被災者メッセージの判読精度、ミッションの迅速性などを競い合った。

World Drone Competition、エアロセンス・神戸大学チーム ダイジェスト動画

 エアロセンスと神戸大学チームのVTOL型ドローン「エアロボウイング」は、9時8分に横浜八景島を離陸。富津みなと公園までの16kmを12分間自律飛行し、公園上空でホバリングしながらオンボードカメラで投下地点および地面に描かれた被災者のメッセージを確認。遠隔操作で投下位置を合わせた後、高度30mからヨーヨー型の投下機で物資の落下を減速させながら地面に着地させた。そして再度自律水平飛行に戻り、16kmを帰還。およそ31分で全てのミッションを無充電で完遂し、全チームの飛行後の評価で最高得点を獲得した。

 判定が行われたのは、離陸、往路飛行中、富津みなと公園での医薬品投下位置精度、カメラでの情報収集、帰路飛行中、着陸、総合評価点の7つ。ドローンとの通信には携帯電話網(LTE)を用いて、飛行時の映像や情報はリアルタイムで審査員およびIFACの会場に中継した。

富津みなと公園上空から物資を投下するエアロボウイング

 ドローンの研究および機体開発で協力関係にあるエアロセンスと神戸大学は、今後も共同研究体制を強化し、機体を開発・改良することで国産ドローンのさらなる普及を目指すとしている。

エアロセンスと神戸大学チーム(前列左から2番目は先端ロボティクス財団理事長 野波健蔵氏)