2021年1月28日、マゼックスは、農薬散布ドローンの飛助シリーズ「飛助MG/DX」の2021年モデルを発売することを発表した。実用性の高い産業用ドローンの安定供給を目指してフライトコントローラーやバッテリーなどをオリジナル部品にし、16L機相当・最大2haの散布能力を実現した。
飛助MG/DXは、2018年1月(MGは2018年7月発売)から販売を開始し、飛助シリーズの累計納品実績は2020年に1000台を突破。マゼックスのオリジナルフライトコントローラーや動力部品、フレーム、バッテリーを採用し「日本の圃場で本当に役立つ機体」をコンセプトに、2021年型モデルを今シーズンに向けて発売を開始する。同機体は全部品をオリジナルにすることで、製品の安定供給が可能となる。
オリジナルフライトコントローラー
従来使用していた既存の制御装置では、国内の顧客に対する要望に対応できない場面があったため、オリジナルフライトコントローラーを開発。強い耐衝撃性を備えたプラットフォームと複数のIMU・CPU・バロメーターで構成され、優れた処理能力で飛行安定性が向上した。強風時でも安定したホバリング性能で、飛行中の高度維持や姿勢制御も精密に行い操縦者の負担を軽減させる。GPSの補足数も向上し、GPSのロストも大きく低減できる。また、従来の直進アシストモードや自動飛行モード、連動散布のほか、散布のタイミングなど任意で細かい調整も容易に可能となった。
GPSの補足数向上
新型のフライトコントローラーは、取得するGPS個数が大幅に向上し、従来は12~15個だった衛星数が20~22個ほどになった。山に囲まれた山間地でも多くの衛星数を取得できるため、GPSロストの可能性を減少させ安全なフライトを実現する。
オリジナルバッテリーで最大2haの散布能力
国内の圃場は1箇所あたり50a以下が多く、そうした圃場で効率的に運用するためにはバッテリーの飛行時間が最も大きな課題であった。そこで、最も使用される国内の圃場面積を基本にバッテリー容量や内容成分に設定して、マゼックスオリジナルバッテリーやフレームの軽量化・適切な動力部品を搭載し、消費電力量の削減を行うことで飛行時間が大幅に向上した。また、薬剤をその圃場に必要な量だけ搭載することで、1つのバッテリーで最大16L=2haを散布できる。
障害物・高度維持レーダー
一定の高度を維持する高度レーダーや、障害物を検知して停止する障害物レーダーの操作は、送信機に付属するタブレットを使い調節する必要があり、実際に飛行してみると風や場所など環境の変化や作物の種類に応じて再度調整を行うことが多々あった。そこで、タブレットを使用せずに、維持したい高度に合わせスイッチを押すだけで設定が完了するようにした。これにより作物の種類や風の強さに応じて、直感で散布高度を変更することができ、変更したい場合も再度スイッチを押すだけとなっている。
散布構造
飛助MG/DXの大きな特長は、軽量な機体ながらも無人ヘリに劣らない散布性能を備えていることだ。今回、4枚プロペラと吐出ノズル前後切替装置を組み合わせた散布構造が特許を取得。30インチの大きな4枚プロペラが生み出す強いダウンウォッシュと、渦の影響を受けにくくする前後切替装置を組み合わせた散布システムである。