2025年4月23日、コアは、秩父市でのドローン航路実装に向けた機能評価として、準天頂衛星システム「みちびき」CLAS(※1)対応ドローン「ChronoSky PF2-AE」を活用した位置補正技術の検証を行ったことを発表した。
※1 CLAS:Centimeter Level Augmentation Serviceセンチメータ級測位補強サービス
経済産業省は、人口減少が進む中で、平時・有事を問わず全国で持続的にデジタルライフラインを整備することを目的として、2024年6月に「デジタルライフライン全国総合整備計画」を策定した。その一環として、ドローン航路の実装を進めている。
ドローン航路とは、ドローン運航に対する社会的理解が進んだ地域において、地上および上空の制約要因を考慮して立体的に定めた飛行航路のこと。これらの航路を効率的に活用し、ドローンを安全に運航するためには、ドローンの位置情報を1m以下の精度で確保することが求められる。この高精度な位置測位を実現する手段の一つとして、準天頂衛星みちびきの測位補強サービスの活用が期待されている。(※2)
日本電気は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/デジタルライフラインの先行実装に資する基盤に関する研究開発」を受託し、埼玉県秩父市でのドローン航路実装に向けて技術検証を実施した。検証の中でコアは、みちびきから配信されるセンチメータ級測位サービスCLASによる測位精度の検証を支援した。
ドローン航路の効率的かつ安全な運航には、事前に決めた航路上をいかに逸脱せずに正確に飛行できるかが重要であり、絶対座標を取得できる高精度なGNSS技術の役割が不可欠となる。CLAS対応ドローンChronoSky PF2-AEを使用した今回の検証では、事前に設定した飛行航路に対して想定通りに自動飛行が可能であること、高精度な位置情報を取得できることを確認した。
※2 2024年6月経済産業省「デジタルライフライン全国総合整備計画」より
実施内容
検証では、CLAS対応GNSS受信機を搭載したドローンChoronoSky PF2-AEを使用し、CLAS測位がドローン航路運用における衛星測位誤差低減の有効な手段であるかを評価した。
秩父市大滝総合支所から道の駅大滝温泉までの河川上空を飛行ルートとして設定し、自動航行を実施した。また、安全性を考慮し、離着陸施設付近では高度を徐々に変化させて河川上空航路に侵入することで、有事の際のドローン落下リスク範囲を最小限に抑えるルートを設定した。
使用機体「ChronoSky PF2-AE」
CLAS対応GNSS受信機を内蔵したドローン。災害時などの通信インフラが使用できない環境においてもドローン単独で高精度な自律飛行が可能。衛星測位誤差を低減する手段として期待されるみちびきCLASの高精度な位置情報を確保できる。
評価結果
飛行中のドローンにおける衛星測位誤差を評価した結果、後処理RTK(※3)で算出した真値と比較して水平方向0.1m、垂直方向0.2mの範囲に収まり、1m以下の精度を確保できていることを確認した。また、ドローンの機体制御・ルート設定が影響する飛行計画ルートとの誤差については、概ね2m以内の誤差で飛行できていることを確認した。
一方で、GNSS単独測位の場合、再現性のない大きな誤差が発生することも確認した。
※3 基準局と移動局(ドローン等)の両方でGNSS衛星からの信号を受信し、情報をやりとりして位置情報のずれを補正することで、精度の高い測位を実現する測位方式
この検証では、みちびきのセンチメータ級測位補強サービスCLASを活用することで、デジタルライフライン全国総合整備計画で示されているとおり、ドローンにおける衛星測位誤差を効果的に低減できることを確認した。
