NTTドコモと石川県白山市、ブルーイノベーション、ドローンショーは、11月4日、ドローンの運航管理システムの実用化に向けて、同一空域でそれぞれ異なる使用目的を持つ複数のドローンを運航する実証実験を実施した。

 同実証実験は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト(DRESSプロジェクト)/地域特性・拡張性を考慮した運航管理システムの実証事業」において採択されたもの。

 2021年6月に小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会が策定した「空の産業革命に向けたロードマップ2021」では、2022年にレベル4を実現することを目標とし、その実現に向けて上空における通信の確保などの環境整備、複数機体の運航管理等に向けた技術開発と持続可能なビジネスモデルの確立等による社会実装の方向性が示された。そのため、同一空域で複数事業者の無人航空機が安全に飛行するための運航管理システムとの相互接続試験(2019年10月)をはじめ、運航管理システムの実用化に向けた試験が行われてきた。

 今回の実証実験は、実際の地域課題への対応を通じて実運用における課題を洗い出し、ドローン活用による省人化・省エネルギー化の実現、社会課題の解決につなげることを目的としている。

 国内の山間部地域では人口減少と高齢化による過疎化に伴い、鳥獣被害、買い物難民等の課題が増えている。さらに災害時の安全確認では、現地への駆けつけに時間を要すること、確認作業に危険を伴うという課題もある。

 こうした中、地域におけるドローンを活用した空からの安全監視、物資の輸送や災害時等の空撮への期待が高まっている。しかし、ドローンの活用を拡大していくには、住民の生活の場の上空を複数台のドローンが、安全に飛行することが求められる。複数ドローンの同時飛行を実社会で実現するには、目視外飛行や自律飛行で衝突回避できるように運航を管理する必要がある。

 実証実験では、NTTドコモのドローン用通信「LTE上空利用プラン」を利用して、上空からドローンの位置情報をリアルタイムに送信し、ブルーイノベーションのデバイス統合プラットフォーム「Blue Earth Platform」をベースに開発された運航管理システムを通して、NEDOが提供する運航管理システムへ送信する。
 同じ空域内で3つの利用事例を同時運航し、ドローン同士が接近した際の運航管理システムからのアラートを確認し、相互に距離を取り安全を確保した運用を適切に行えるかを検証した。

 異なる事業者がそれぞれ違う方法で運航管理システムと接続することを想定し、鳥獣調査、物資輸送、空撮の3つの目的でドローンを同一時刻・同一空域にて飛行した場合でも飛行位置を確認し、衝突を回避して安全に運用できることを確認した。

3つのユースケース
① 鳥獣調査
・鳥獣出没の調査や監視
・リアルタイム映像伝送(地上から5Gにて送信)
② 物資輸送
・山間部への小口配送
・災害時の緊急物資輸送
③ 空撮
・建物や建造物の高所点検

各社役割

NTTドコモプロジェクト全体統括、ドローンの通信環境の提供(LTE上空利用プラン)
白山市実証フィールドの提供・申請および調整業務・地域住民への連絡
ブルーイノベーション飛行オペレーション、運航管理システム開発およびAPI接続開発
ドローンショー飛行オペレーション、運航管理システム接続用端末を搭載可能な独自機体の提供