2018年10月23日、インターネットイニシアティブ(以下IIJ)と住友商事は国内外の農業にイノベーションを起こすことを目標に、先端農業に関する市場調査、製品開発、製造および事業化に関する業務提携を締結をしたことを発表した。

 日本の農業就業者は高齢化が進み、65歳以上の高齢者が6割を超えている。また、後継者不足を背景に年々農業就業人口は減少しており、生産技術やノウハウの断絶も危惧されている。このような労働力不足を背景に、耕地の集約や農業法人の大規模化が進み、1経営体当たりの経営耕地面積は拡大基調にある。そのため、ロボットやドローン技術、ICT等を活用した農作業の省力化・軽労化や高品質生産など大幅な効率化に向けた取組が求められている。しかし、実際に多くの生産現場では環境整備の途上にある。例えば、水田作における水管理については日々の水回り作業に多くの時間を要するほか、作物の品質や収穫量を維持するためにはきめ細かな対応が必要となるが、関連するハードウェアの整備はあまり進んでいない状況だ。

 IIJと住友商事は、同提携を通じて、水稲・小麦・大豆・サトウキビ等を対象に、農作業の効率化やノウハウの可視化を実現するため、製品開発や製造販売に関する取組を推進する。まずは、農業生産者にとって使い易く安価な通信サービスの事業化に向け、住友商事が戦略的提携を発表(※1)したJAみやぎ登米管内において、LoRaWAN 等のLPWA(※2)技術と各種センサーを用いた通信技術の実証を進める予定である。

 IIJは、IoTシステムを構成するネットワーク、クラウド、デバイスゲートウェイや、システムのセキュリティ確保など、あらゆるものを「つなぐ」ために必要な要素技術を土台に、生産現場から家庭まで様々なシーンにおいて技術開発に携わる。

 両社は、同提携により農業の効率化と生産者の利益を追求した新技術・製品・サービスの開発・展開を進め、国内外の農業を将来にわたり維持・発展させるための取組を加速させていく、とこれからの方針を示した。

提携イメージ

※1 2018年8月20日付「JAみやぎ登米管内における先端農業における戦略的提携について」https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/release/2018/group/10620
※2 LPWA(LowPower, Wide Area):IoT/M2M(Machine to Machine)に適した低消費電力かつ長距離通信を特徴とする無線通信技術。LoRaWANはLPWAの一種である無線通信プロトコル。

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