第1回ドローンサミットの主催である神戸市は、自治体としての課題をドローンで改善・解決している消防局・建設局・デジタル戦略部などのドローン活用事例を公開した。

神戸市としてのドローンの利活用方針

(出典:DRONE HYOGO

 兵庫県は2019年より「ドローン先行的利活用事業」を実施しており、ドローンによる行政・自治体としての課題解決や利活用を推進している。事業目的には兵庫県内の民間企業が培った知見の利活用促進や次世代産業の創出、県民へのさらなる安心・安全な暮らしの提供、行政サービスの向上・業務効率化などがある。

 これらの取り組みは兵庫県と神戸市が連携し、兵庫県を横断するようなイメージで分野を問わず、ドローンの最新技術を先行的に利活用・実施した上で成果を検証する仕組みだ。

 第1回ドローンサミットでは神戸市消防局や建設局などのドローン活用事例を公開した。担当者は「消防局では災害現場での情報収集、建設局では災害地測量による3Dモデル化調査や交通量調査を行っており、デジタル戦略部では小型ドローンを活用した360°動画・VR・4K動画の空撮などに取り組んでいる」とコメントした。

神戸市消防局のドローン活用事例

 総務省はドローンの利活用を各事業者に推奨しており、自治体も例外ではない。神戸市消防局の担当者は、「総務省からドローンを無償提供されたことを切っ掛けとして、消防局もドローンの導入を開始した」という。総務省消防庁はドローンによる建物火災の状況確認や遭難者捜索、大規模な水災・土砂災害の被害状況確認などへの活用を奨励しており、その一環として「総務省消防庁無償使用制度」による政令指定都市へのドローンの無償貸与を行っている。この制度の利用により、神戸市消防局では2019年度から消防用ドローンの運用を開始した。

 神戸市消防局はドローンを火災現場や事故現場、山間での遭難者探索などに活用している。担当者によると「2020年から現在にかけてのドローン稼働数は26件であり、そのうち8割近くが火災現場での出動である」という。火災現場でのドローン活用例としては火災による延焼状況や残火状況の確認や、上空からの火災原因調査などが挙げられる。

 現在消防局ではDJI製のドローンを使用しているが、近年の国産ドローン開発状況を鑑みて純国産のドローンへの切り替えを検討しているとのことだ。

神戸市建設局のドローン活用事例

 神戸市建設局のドローン活用例として最初に挙げるのは、ドローンを活用した災害跡地の調査だ。建設局の担当者は、「ドローンで撮影した災害跡地の状態から3Dモデルを作成し、どの部分で土砂崩れが起きているのかなどの見当付け、より迅速に対応できるための検討材料として活用している」と述べた。

 また、神戸市建設局では道路上空をドローンで撮影して車両混雑度をデータ化することで、渋滞箇所の解消案を検討する取り組みも行っている。神戸市内には高速道路が14カ所、一般道路が55カ所あり、その中でも神戸三田線・小束山6丁目交差点付近・商大線(高丸IC前)付近・西盛口交差点などで渋滞が発生することが多い。この渋滞問題を解消するための検討材料として、建設局ではDJI製Mavic 2 Zoomなどのドローンを利用した交通状況調査を実施している。

 そのほか、神戸市建設局では災害時の初期対応を想定したドローン操縦士養成訓練や建設工事管理、各種調査にドローンを活用しているとのことだ。

 第1回ドローンサミットにおける神戸市の出展は消防局と建設局が中心であったが、水道局をはじめとする各部署でドローンによる課題解決に取り組んでおり、兵庫県・神戸市全体でのさらなるドローン利活用が期待される。

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