GNSS事業やICT分野のさまざまなソリューションを提供するコアは、みちびきの「CLAS」対応小型受信機「Cohac∞ Ten」、ドローン測量、位置管理ソリューションといったみちびきを活用したソリューションの紹介を行っていた。

小型・軽量を実現 みちびきの「CLAS」対応GNSSマルチ受信機Cohac∞ Ten

みちびきの「CLAS」対応GNSSマルチ受信機Cohac∞ Ten。付属のアンテナと受信機がともに軽量・小型なのでドローンへの搭載も手軽。

 2022年2月に発売したみちびきの高精度測位補強サービス「CLAS」に対応したGNSSマルチ受信機Cohac∞ Tenが展示されていた。センチメータレベルの高精度な位置計測(高精度測位)が受信機のみで可能だ。同受信機は大幅な小型軽量を実現したもので、受信機は名刺に近いコンパクトサイズ(横100mm×縦67mm×厚さ24mm)で、重量はわずか95g。「基板単体での提供も可能で、基板単体では30gなのでドローンへの搭載も手軽」(担当者)とのこと。衛星測位システムは、みちびきのほかGPS、GLONASS、Galileo、BeiDou、SBASに対応し、1秒間に100ポイント測位する最大100Hz出力に対応することで、高速で移動する物体の動きを詳細にとらえることもできる。

 2つのmicro USBポート、UART及びRS232C対応シリアルポート、電源供給用のDC INポート、アンテナコネクタなどを備え、PCやスマートフォン端末からWi-Fi・Bluetoothで接続して、手軽に受信機の出力設定やデータ取得が可能だ。また、通信キャリアが提供するネットワークRTKサービスにも対応しているので、RTK基準局にもなる。

2周波対応高精度GNSS受信機「Cohac∞ QZNEO」。Webによる簡単な設定で、有線でも無線でも位置情報を取得できる。横90mm×縦45mm×厚さ12mmで重量は40g。

 ほかにも2020年6月に発売された2周波対応高精度GNSS受信機「Cohac∞ QZNEO」も展示。みちびき、GPS、GLONASS、Galileo、BeiDouの5つの衛星測位システムに対応している。みちびきはL1C/AとL2Cの2周波に対応し、1周波で受信する時よりも安定したサブメータ測位が可能になるほか、L1S信号にも対応しており、みちびきのSLAS(サブメータ級測位補強サービス)と災危通報(災害・危機管理通報サービス)も受信可能だ。単独測位、RTK測位、ネットワークRTK測位の3つの測位方式に対応している。

ドローン+みちびきを活用したソリューションを提案

 同社では、Cohac∞ Tenといった機器の販売とともに、みちびきの高精度測位を利用した「ドローン測量」「位置管理」に関して、高精度測位ソリューションをパッケージで提案している。
 ドローン測量は、従来の測量業務に比べ効率化したものの高い測量精度を実現するには、測量範囲に複数の標定点の設置・測量・回収などを行う必要があり、事前準備など手間のかかるプロセスがあるのが実状だ。

 「通常のドローン測量では、標定点の設置や標定点座標の測量が必要で、実は工程がかかる。また、標定点設置時に人が立ち入りづらい斜面などの危険なエリアもあるので、作業員の安全確保も必要となる。それに加え、撮影が終了したら標定点の撤去も必要。ドローンを飛ばす前と後の工程に意外にも時間がかかってしまう」(担当者)。同社が提供するドローン測量ソリューションでは、みちびきによる高精度な位置情報を活用して標定点なしで行えるため、所要時間を大幅に短縮することができる。また、ネットワーク環境が不要のため、電波の届かない場所での測量が可能というのも利点だ。

 撮影した画像の処理も簡単な設定で自動処理して出力できるのも魅力。出力データは、点群データ、オルソ画像、メッシュデータ、標高データ等、要望に応じて様々なデータの出力が可能とのこと。「土木関係がメインターゲットであるが、港湾分野、都市部のガス・水道管の埋設位置を正確に把握したいという需要があり、建設だけでなく、インフラ事業者、建設コンサルなどからの引き合いも多い」(担当者)と話し、現場にフィットしたサービスを提供していきたい考えだ。

 位置管理ソリューションは、現場や資産の「高さを含む高精度な位置」を地図アプリ上で管理するもの。地図アプリ上に資材の位置や掘削・埋立現場の写真などを表示し、エリアを定義して入退の通知やエビデンスの記録・履歴管理ができる。「たとえば、Cohac∞ TenやQZNEOをトラックやフォークリフトに取り付けて、資材を運んだ位置を自動測位して登録したり、鉱山や埋立地の管理に平面上に位置をプロットするだけでなく、高さを含めて記録することができるので、立体的な位置管理が可能だ」と担当者は話す。そのほか、AIカメラによる物体距離認識、認識物体を地図にマッピングする「画像認識AIソリューション」も紹介された。

 同社はこの4月にCohac∞ Tenを含めたドローン向けソリューション「Cohac∞ ChronoSky」(以下ChronoSky)を発表し、あわせてACSLと共同で、ACSL製「ACSL-PF2」にChronoSkyを対応させた国産ドローンを開発した。ドローン測量で得たデータの解析を人工知能(AI)で自動化・効率化し、BIM/CIMと連携も可能だ。ChronoSkyでは、測量、物資運搬業務、点検業務、建設・土木業務等での利用を想定しており、今後様々な展開が期待できそうだ。