第三者の立ち入りを管理するための立入管理区画を設定する上では、横軸の落下距離を算出する必要がある。落下した際、ドローンは真下に落ちるだけでなく横方向にも移動しながら落下する可能性を想定しなければならない。そのため、横軸の落下距離も含めた範囲が落下分散範囲となる。

 落下分散範囲を算出する際には、以下の要素を考慮する必要がある。

1. 飛行高度: ドローンの飛行高度が高いほど、落下分散範囲は広くなる傾向がある。
2. 飛行速度: 速度が速いほど、落下分散範囲は広がる。
3. 風速: 風が強いほど、ドローンは風下側に流されるため、落下分散範囲は風下側に広がる。
4. GPSの精度誤差: GPSの誤差により、ドローンの実際の位置と計算上の位置にずれが生じ、落下分散範囲に影響する。
5. 緊急動作の作動時間: ドローンが異常を検知してから緊急動作(モーターの停止など)を開始するまでの時間も、落下分散範囲に影響する。

 これらの要素を考慮し、想定される最大の落下分散範囲を算出することが求められる。この範囲内に第三者が立ち入らないよう、立入管理区画を設定し、安全を確保しなければならない。

 例えば、ドローンの飛行高度が50m、速度が10m/s、風速が5m/sの場合、単純計算では落下分散範囲は風下側に25m程度となる。ただし、実際にはGPSの誤差や緊急動作の作動時間なども加味する必要があるため、より広い範囲を立入管理区画として設定することが求められる。

 落下分散範囲の概念は、ドローンの安全運航において非常に重要だ。ドローンを飛行させる際は、想定される最大の落下分散範囲を算出し、その範囲内に第三者が立ち入らないような措置を講じなければならない。