マイクロドローンとは小型で軽量のドローンのことをいい、一般的には模型航空機に分類される機体のことを指す。一般的には重量が100g未満、プロペラサイズが2インチ(約5cm)以下、プロペラ対向間が10cm程度の特徴を持ち、コンパクトで機動性が高いため、室内や狭い場所での飛行に適している。トイドローンよりもさらに小型なものをマイクロドローンと呼ぶ。

 マイクロドローンは、主にFPV飛行や空撮といった用途で使用される。一方トイドローンは、主に遊びやエンターテインメントを目的としており、子供でも簡単に操縦でき、価格も手頃である。簡易的なカメラやフリップ飛行機能などが搭載されており、その名の通り遊び用として販売されている。また、GNSSを搭載していない機種も多く、ドローンの操縦訓練に使用されるケースも多い。

マイクロドローンの用途

 マイクロドローンの主な用途としては、以下のようなものがある。

1. 室内や人物の撮影: 小型で安全性が高いため、室内やイベント会場での撮影、人物を近くから撮影する際に活躍する。

2. アクロバティックな飛行: 高い機動性を生かし、宙返りや狭い場所をくぐり抜けるなど、ダイナミックな飛行・撮影が可能だ。

3. ドローンレース: スピード競争や障害物を避けながらのレースなど、マイクロドローンを使用したレース競技が注目されている。

4. 点検作業や人命救助: 小型で狭い場所に入り込めるため、建物の配管や電気設備などの屋内点検で使用した事例がある。ただし、操縦が不安定なため、操縦技術の高いパイロットが求められる。

マイクロドローンの構造

図版:マイクロドローンの構造例(フレーム、モーター、RX、VTX、フライトコントローラー)
(出所:資料をもとにせりぽよが作成)

 マイクロドローンは以下の主要パーツと周辺機器で構成される。

・フレーム: ドローンの骨格となる部分。軽量で耐久性のある素材を使用する。フレームはプロペラガードを兼ねることが多く、衝突時のダメージを軽減する役割もある。

フライトコントローラー ドローンの頭脳となる制御装置。各種センサーの制御を行い、安定飛行を実現する。ソフトウェアでの設定変更が可能で、飛行特性をカスタマイズできる。

・モーター: ブラシモーターやブラシレスモーターがあり、プロペラを回転させる。

・プロペラ: 通常4枚のプロペラを使用する。材質や形状によって性能が異なる。柔軟な素材で作られたプロペラは衝突時のダメージを軽減し、耐久性が高い。

・カメラ・映像送信機(VTX): 小型カメラと映像送信機を搭載し、FPV飛行用の映像を送信する。カメラのサイズは1/3、1/4インチが一般的で、FPV映像の鮮明度を左右する。

・バッテリー: リポバッテリーが一般的で、小型軽量で高出力が特徴だ。容量や放電レートによって飛行時間や性能が異なる。

マイクロドローンで使用する周波数帯

 マイクロドローンは、一般的なドローンが使用するWi-FiやBluetoothといった通信方法を採用していない。FPV飛行を行うにあたっては資格の取得が必要となる。

 マイクロドローンはFPV(First Person View)と呼ばれる、操縦者が装備するゴーグルに伝送されたドローンからのカメラ映像を見ながら操縦する方法で飛行することが多い。

図版:マイクロドローンをFPVで飛ばす際の流れ
(出所:資料をもとにせりぽよが作成)

 FPV飛行を行う場合は、ドローンから伝送される映像が遅延して操縦に影響を及ぼさないよう、一般的な空撮用ドローンと比較すると画質よりも通信速度が重視されている。カメラの画像を伝送する装置は映像伝送用送信機(VTX)と呼ぶ。

 マイクロドローンは2.4GHz帯よりも通信速度が速い5GHz帯前後の周波数を画像伝送に用いることが多い。この場合、操縦には免許や資格を必要としないが、画像伝送にはアマチュア無線局を利用することになる。

 そのため、マイクロドローンをFPVで操縦する場合は、使用するVTXに応じたアマチュア無線局を開局する必要がある。

 なお、アマチュア無線局は業務目的で使用出来ない。そのため、業務目的で利用する場合は「無人移動体画像伝送システム」の無線局を使用する必要がある。なお、無人移動体画像伝送システムを使用する場合は第三級陸上特殊無線技士以上の国家資格を保有していなければならない。

図版:FPVドローンを使用する際のフローチャート
(出所:資料をもとにせりぽよが作成)