リポバッテリーは「リチウムイオンポリマーバッテリー」を正式名称とする、ドローンに多用されているリチウムイオンバッテリーのひとつだ。

 リチウムイオンバッテリーは多数の用途で使われており、日常生活の中だけでもスマートフォンやパソコン、スマートウォッチ、エレベーター、IoT家電などに使われている。

リポバッテリーの特徴

 リポバッテリーは大容量かつハイパワーの電源供給を軽量・小型なバッテリーで実現できる。例えばスマートフォンに使われているリチウムイオンバッテリーは電解質が固形のため、バッテリーの大きさは縮小できても重くなりがちだ。しかし、リポバッテリーは電解質がゲル状で構成されているため、リチウムイオンバッテリー同様にコンパクトでありながら軽量化できる。そして、ゲル状の電解質は同じリチウムイオンバッテリーの中でもエネルギー密度や電圧が高いため、大容量かつ大出力なバッテリーとして多用されている。これらの特徴からハイパワー出力が求められ、かつ飛行に影響が出ないようバッテリー自体が軽い必要があるドローンの電池として採用されている。また、リポバッテリーは自己放電が少なく、充電とともに最大容量が減少するメモリ効果が小さいという特徴も併せ持つ。なお、リポバッテリーの電解質自体は可燃性であるが、廃棄する際は各自治体のルールに従う必要がある。事業で使用したリポバッテリーを処分する際は産業廃棄物として廃棄すること。

リポバッテリーの構造

(出所:資料をもとにせりぽよが図表を制作)

 リポバッテリーの内部は1S(セル)という単位で構成されており、通常は内部に存在するセル数×3.7Vの電圧をリポバッテリーで使用できる。リポバッテリーは充電式であるため、複数のセルを直列に接続することで高出力・大容量を確保可能だ。

 リポバッテリーはセル同士の電圧差が生じると、過放電と呼ばれるバッテリーが劣化する現象が起きやすくなる。

 そのため、セル同士の充電量を一定にし電圧差のバランスをとる充電方法を採用することで過放電を未然に防いでいる。リポバッテリーにバランスを保つためのバランサーがついている場合、充電時にバランサーを充電器に接続することが重要だ。

リポバッテリーの取り扱いについて

 リポバッテリーはドローンに適したバッテリーだが、使用する際は注意して取り扱わなければ事故に繋がる恐れがある。注意すべき点としては、以下のようなものがあるが、メーカーごとの注意事項も存在するため使用時は必ず取扱説明書を読むこと。

リポバッテリー保管温度による電圧上下のイメージ(出所:資料をもとにせりぽよが図表を制作)

発火する恐れがあるため、落下させたり物をぶつけたりなど衝撃を与えないこと。
水に濡らさず、万が一発火した際に備え不燃性のケースに入れて保存すること。
充電する際は必ず目の届く範囲で行うこと。
リポバッテリーは高温環境で保存すると電圧が上昇し過充電となり発火・爆発の恐れがあるため高温環境を避けること。
寒冷環境でリポバッテリーを保存すると電圧が下がり過放電状態なって、バッテリーの性能が落ちたりバッテリーが膨張し始めたりするため、適温で保存すること。
保存環境の温度変化が起きないとは限らないため、バッテリー内部の電圧が上昇・低下しても良いよう、長期間使用しない場合はバッテリー残量を45-60%程度の状態で保存すること。
機体の急上昇・急下降はバッテリーに負担をかけ寿命を短くするため、なるべく行わないことが望ましい。