ドローン及び無人航空機を飛行させている際の、人の死傷・負傷や物件の損壊、機体の制御不能、墜落などは事故・重大インシデントとされる。これらが発生した際は必ず国土交通大臣に報告をしなければならない。
無人航空機に関する事故
無人航空機に関する事故とは、「無人航空機による人の死傷(重傷以上)」「第三者の所有する物件の損壊」「航空機との衝突または接触」のいずれかに該当する事態のことをいう。
「無人航空機による人の死傷」は重傷以上の負傷発生時を示し、一般的に重傷は治療に30日以上の日数を必要とする場合を指す。これには無人航空機の操縦者に過失がない悪天候などの外的要因による死傷も含む。なお、事故・重大インシデントにおいて「人」は第三者のみではなく、操縦者及び運航関係者も含んで考える。
「第三者の所有する物件の損壊」は第三者が所有する人工物を破損・損傷させたすべての場合が該当する。これは軽度の破損であっても対象となり、瓦のひび割れなども含む。
「航空機との衝突または接触」は無人航空機と航空機のどちらか、または両方に、衝突・接触により機体へ損傷が起きた際に報告義務が発生する。
無人航空機に関する重大インシデント
無人航空機に関する重大インシデントとは、「無人航空機による人の負傷(軽傷)」「無人航空機の制御が不能となった事態」「無人航空機が飛行中に発火した事態」「航空機との衝突または接触のおそれがあったと認めた時」のいずれかに該当する事態のことをいう。
「無人航空機による人の負傷(軽傷)」は文字通り、重傷以上を除いた治療期間が30日未満の負傷が発生した際を示す。
「無人航空機の制御が不能となった事態」は機体の不具合により正常な操縦・制御ができなくなった場合が対象だ。例としては「通信可能範囲での無人航空機とプロポ間の通信障害」「想定しないバッテリー切れ」「機体構造や装備品等の機能不良」などが挙がる。
原因が機体の不具合ではなく、例えば「バッテリー残量の確認不足によるバッテリー切れ」「気象状況の確認不足により風にあおられた」などの操縦ミスは重大インシデントに該当しない。
「無人航空機が飛行中に発火した事態」は、飛行のために無人航空機のモーター等が稼働状態にある時に発火した場合に限る。そのため、飛行に関連しない保管中のバッテリー発火などは報告対象ではない。
事故・重大インシデント発生時の救護義務・報告義務
無人航空機に関する事故・重大インシデントが発生した場合、操縦者は負傷者の救護など危険を防止するために必要な措置を講じなければいけない。
操縦者が行うべき措置としては、即座に飛行を中止し負傷者への応急処置、救急車要請、消火活動、警察官への事故概要説明などがある。
なお、必要な措置の対応が完了した後は、国土交通大臣へ事故・重大インシデントの発生報告を行わなければならない。
事故等の報告をしない又は虚偽の報告を行った場合は、30万円以下の罰金が科される。加えて、負傷者の救護など危険を防止するために必要な措置を講じない場合、2年以下の懲役又は百万円以下の罰金が科せられることも留意したい。