ドローンスクールはドローンを操縦する上で必要な知識・操縦技能を受講生に指導する団体のことを言う。一般的なドローンスクールでは、航空法や小型無人機等飛行禁止法などドローンに関する法規制を学び、実際にインストラクターの指導下で操縦訓練を行うことが多い。

ドローンスクールについて

 多くのドローンスクールは「安全にドローンを運航できる操縦者」を育成するカリキュラムを提供しており、修了者には各管理団体ごとに知識・技能を認定する民間資格を発行している。その一方で、2022年12月に航空法の改正が施行されたことを受け、操縦ライセンス制度が創設された。ドローンスクールでは、民間による管理団体の認定校として民間資格を発行するのに加え、国が認可した登録講習機関として国家資格(一等・二等無人航空機操縦士)のカリキュラムを扱っているドローンスクールも存在する。

 ドローンを操縦する上で民間資格の取得は必須ではないが、民間資格の取得は、一連の座学・実技の指導を受講したことを意味し、一定の技能を有する操縦者であることを証明する。そのため、国土交通省では民間資格保有者が必要書類を提出した場合、飛行許可承認申請時に必要な「申請書様式3及び無人航空機を飛行させる者の追加基準への適合性資料」を2025年12月までは提出不要と発表している。2026年1月以降は、飛行許可承認申請時の提出資料省略の効力は失われるが、民間資格が廃止されるものではない。また、民間資格の取得者は、国家資格を受検する際、経験者としてみなされることが多く、国家資格取得のための学科講習及び実地訓練の講習時間を短縮する優遇措置が取られている。

 なお、管理団体が発行する民間資格は国土交通省認定資格ではないことは抑えておきたい。

ドローンスクールで学べる内容・カリキュラム

 ドローンスクールのカリキュラムは、2~3日の受講時間で学ぶ形式が多い。

 どのドローンスクールでも基礎となる法規制などの座学指導や実技練習は共通しているが、各スクールの方針によってカリキュラムのどこに重点を置くかは異なる。ただし、どのドローンスクールであっても座学・実技ともに到達度・理解度チェックテストなどを受験し、合格しなければ民間資格が取得できない場合がほとんどだ。なお、その難易度や講習内容、受講料金は各ドローンスクールによって差がある。一方、国家資格は全校で均一化された難易度、講習内容となる。

 民間資格では、航空法や小型無人機等飛行禁止法、電波法など基本的なドローンに関する規制のみを座学指導するスクールもあれば、カメラの詳細や飛行許可承認申請時の注意点や操縦アプリの操作方法までを座学で説明するスクールもある。

 操縦者は法令に違反しないことや、事故などにつながらないドローン運用を意識する必要があるが、未経験者にとっては何が良くて何が悪いのか判別がつかない。ドローンスクールの座学では実際にドローンを飛ばす際に知っておくべき座学を履修できるため、ドローン未経験者は効率的に基礎を押さえることができる。これは実技も同様だ。

 ドローンスクールの中には座学よりも実技に注力し練習時間をなるべく充実させたり、修了試験後に実際の空撮に使用する操縦テクニックを指導したりするスクールも少なくない。

 国土交通省では包括申請の要件として「飛行を予定している無人航空機の種類(飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船のいずれか)別に、10時間以上の飛行経歴を有すること」と指定している。未経験で10時間以上の無人航空機飛行経験を積むのは難しく現実的ではないため、この理由においても未経験者はドローンスクールに通うことが多い。

 なお、ドローンスクールを利用したいと考える初心者向けの民間資格取得コースのほか、屋根点検コースや空撮コース、赤外線外壁調査コース、インストラクター育成コースと複数のコースを用意しているドローンスクールも多数存在する。このため、民間資格取得後のスキルアップにもドローンスクールは利用可能だ。