飛行マニュアルは、ドローンの安全かつ適切な運用のために必要となる重要なガイドラインである。ドローンにおける飛行マニュアルは、国土交通省が公開している「航空局標準マニュアル」を指す。
▼国土交通省-航空局標準マニュアル
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000042.html#anc03
飛行マニュアルには、ドローンを運用する際の制約事項のほか、無人航空機の点検・整備、無人航空機を飛行させる者の訓練、緊急時の対応、フライトプランニング、無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制などの記載が含まれ、ドローンを飛行させる際には、これらを明確にし、安全なフライトであることを計画し、国土交通省へ許可・承認の申請を行わなければならない。
▼国土交通省-無人航空機の飛行許可・承認手続
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000042.html
飛行の許可・承認申請
飛行申請に必要な飛行マニュアルは、航空局標準マニュアルを利用する方法と、独自に飛行マニュアルを作成する二通りが認められており、独自の飛行マニュアルを作成した場合には、航空局標準マニュアルの内容と同水準の安全性が確保できることが前提条件となる。
航空局標準マニュアルは、通常版に加えて「空中散布」、「研究開発」、「インフラ点検」のように用途別に用意されている。通常版とインフラ点検には「場所を特定した飛行」と「場所を特定しない飛行」の二通りの内容があり、「場所を特定しない飛行」の航空局標準マニュアルは、「場所を特定した飛行」のマニュアルに比べ、安全に対する水準が高く設定されている。
2015年に航空法が改正された際は、飛行マニュアルは独自で作成し申請することが前提であった。しかし、必要な安全対策が共通化できるのに加え、運用・審査の効率化の観点から2019年に国土交通省が航空局標準マニュアルを公開した。航空局標準マニュアルの利用は、申請件数の80%を超えている。
飛行マニュアルの必要性
ドローンの運用は専門的な操縦技術と知識を要する。飛行マニュアルによって安全かつ適切な運用方法が厳守され、安全な飛行を実現するための基盤となっている。ドローンを取り扱う者は、飛行マニュアルを熟読し、飛行に関する正確な情報を把握することで、事故等のリスクを最小限に抑えることができる。