空飛ぶクルマとは、バッテリーを動力源に空中を飛行するクルマのことである。垂直離着陸が可能な移動体として知られている。現在はエアモビリティやアーバン・エア・モビリティ(UAM)、エアタクシーという表現を用いることが多い。ドローン同様に電動化することで部品点数を少なくして製造・メンテナンスコストを削減するとともに自動飛行との親和性を高め、垂直離着陸機能により離着陸場所の自由度を高めているのが特徴。

 機体はドローンに似た設計を採用し、人が乗車可能な構造にしたものであり、世界各国で2人~5人乗りの機体が開発されている。運用面では、自動飛行や垂直離着陸機能により離着陸場所の自由度を高めている。機体によってはタイヤを備え、路面走行を可能にしたものもあるが、現状は自動車の機能をもっていない機体も「空飛ぶクルマ」と呼ばれている。

 日本の航空法では航空機と無人航空機(ドローン)は人が乗れる構造か、乗れない構造かにより区別されている。その違いは機体構造だけではなく、安全に対する考え方も大きく異なっている。

国の動向

 経済産業省や国土交通省、民間の有識者や事業者からなる「空の移動革命に向けた官民協議会」では、空飛ぶクルマの実現に向けて、2023年を目標に事業を開始し、2030年までに事業を拡大する計画が打ち出された。2025年に開催される大阪・関西万博においては空飛ぶクルマの飛行を実現し、会場内の移動などの利用を目指している。
▼国土交通省-空の移動革命に向けた官民協議会
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk2_000007.html

役割

 空飛ぶクルマは、過疎地域や離島への移動または輸送手段、緊急車両への活用や都市部の渋滞回避、観光など多くの期待が寄せられている。ただし、高密度バッテリーの開発や新たな法整備、航空管制の仕組みづくりなど、現在は実現に対する課題が多い。

環境整備

 空飛ぶクルマを社会実装するには専用の離着陸場が必要である。そこには頻繁に離着陸できる十分な広さの敷地と急速充電設備及びこれに対応する大電力受電設備、地上交通機関との連絡や駐車場、飛行支援設備、乗客のための設備なども必要となる。ビルの屋上を離着陸場として利用する構想も検討されており、今までにないインフラ建設がすでに世界各国で検討されている。