夢洲で開催中の大阪・関西万博では、空飛ぶクルマの試作機の展示やデモフライトが行われており、多くの来場者の関心を集めている。さらに、会場外でもデモフライトの見学や本格的な操縦シミュレーターの体験が可能なスポットが続々と登場しているので、ここではそうした未来のモビリティを楽しむための情報をまとめて紹介しよう。

万博会場で空飛ぶクルマのデモフライト公開中

 万博会場内の西ゲート奥に位置する「EXPO Vertiport(バーティポート)」では、空飛ぶクルマのデモフライトが度々実施されている。

写真:万博会場を飛行する空飛ぶクルマ

 2025年7月31日からは、SkyDriveが開発した「SkyDrive式SD-05型」によるデモフライトが実施され、8月18日には海上ルートでのデモフライトに成功した。この成果を受けて、8月21日から8月24日までの期間、海上ルートでの飛行が行われた。

写真:バーティポートでスタンバイする空飛ぶクルマ、大阪府知事・吉村氏とSkyDrive福澤氏

 なお、8月18日のフライトには大阪府知事・吉村洋文氏が立ち会い、「これまでにない機動力と性能を持った新しい空の移動手段が大阪から実現されることを実感できた」と語った。万博終了後も、空飛ぶクルマの社会実装に向けた取り組みを継続して支援していく意向を示し、同席していた国土交通省の関係者に対しては「できるだけ早い規制緩和を」と協力を呼びかけた。

話題の最新機も登場!ANA×Joby S4デモフライト&空中クルーズ

 2025年10月1日から13日には、ANAホールディングスとJoby Aviationによる共同プロジェクトとして、ANA仕様の「Joby S4」のデモフライトが予定されている。パイロットを含む5人乗りの同機は、ポート内で垂直離着陸や前進飛行を披露する予定だ。

 さらに、8月29日には、ヘリコプターを活用した有償の空中クルーズが1日限定で実施される。空飛ぶクルマの未来の商用運航を想定したもので、約20分(うち遊覧飛行は約5分)のフライトが最大25回行われる予定。

▼空中クルーズ申込ページ
JTB-大阪府空飛ぶクルマ観光魅力促進調査事業「大阪・関西万博 空中クルーズ」
https://www.jtb.co.jp/leisure/products/products.aspx?products=1069599

実機のモックアップで搭乗体験!

 エンパワーリングゾーンにあるパビリオン「空飛ぶクルマ ステーション」では、実機の実物大のモックアップが用意され、搭乗体験や没入型シアターの鑑賞を楽しむことができる。そのほか、各種関連情報の展示が行われている。

写真:「VX4」キャビンの実物モデル
8月1日から「VX4」キャビンの実物モデルを体験できるコーナーが登場。

 8月1日からは、丸紅とVertical Aerospaceグループが共同で開発中の「VX4」の客室の乗り心地を試すことができるキャビンモデルの搭乗体験も開始された。キャビン内部には窓を模したディスプレイが設置され、デモフライトを模した映像が流れ、まるで実際に飛行しているかのような臨場感が味わえる。待機時間中も、外部ディスプレイにて「VX4」の紹介映像を楽しめるなど、空飛ぶクルマを満喫できる内容となっている。

写真:「VX4」キャビンの実物モデルとその周りの様子
「VX4」のキャビンは予約不要で見学できる。


 なお、この体験は事前予約制で、「SkyDrive式SD-05型」のモックアップ搭乗、「VX4」キャビン体験、シアター鑑賞の順に体験する。一方、展示の見学のみであれば予約は不要だ。

 さらに、7月1日からは、館内に公式スタンプラリーのポイントとして「空飛ぶクルマ ステーション」が追加されており、空飛ぶクルマのピクトグラムがデザインされた記念スタンプを押すことができる。スタンプ台は予約不要エリアに設置されているのでチェックしてほしい。

写真:「空飛ぶクルマ ステーション」のスタンプ台
新たに追加された「空飛ぶクルマ ステーション」のスタンプラリー。

大阪港バーティポートでデモフライトを間近に見学

 万博会場に行けない人に向けて、大阪市港区の「大阪港バーティポート」でもデモフライトの見学が可能となる。期間は9月15日から9月23日まで。

 飛行ルートはポートの敷地内または海上周回ルートが予定されており、フライト時間は午前9時30分と午前11時30分の2回。各回とも1時間前から受付が開始され、定員は各100名。事前予約制で、費用は無料。イベントの運営状況によって定員を増加させる場合もあるので、詳細は公式ページ「空クルラボ」で確認してほしい。

▼「空クルラボ」公式ホームページ
https://advanced-air-mobility.osakametro.co.jp/

「大阪港バーティポート」へは最寄の大阪港駅から徒歩約10分だが、イベント期間中はオンデマンドバスが運行される。アプリ登録のうえで、乗降場所を指定してタクシーのように利用でき、大人400円、小児200円と手頃な料金設定だ。

▼オンデマンドバスのご案内|Osaka Metro Group オンデマンドバス
https://maas.osakametro.co.jp/odb/

森之宮に登場!e METRO MOBILITY TOWNで本格VR操縦体験

写真:シミュレーター体験コーナーの外観
「e METRO MOBILITY TOWN」内のシミュレーター体験コーナー。

 大阪市城東区森之宮に新設された未来モビリティ体験型テーマパーク「e METRO MOBILITY TOWN」では、LIFT AIRCRAFT社が開発した一人乗りの空飛ぶクルマ「HEXA」のVRフライトシミュレーターを体験できる。

写真:2台設置された空飛ぶクルマのシミュレーター
操縦訓練に使われる実際のシミュレーターを体験できる。

 このシミュレーターは実際にアメリカ国内で操縦訓練に使用されているもので、日本国内ではこの施設のみが導入している貴重な設備。体験時間は約5分間で、簡単な事前説明(約5分)を受けるだけで誰でも操作体験が可能だ。

 Google Earthの3Dマップを活用したVR映像と、シートの前後左右の動きにより、実際に大阪市内を自由に飛行しているかのようなリアルな操縦体験が味わえる。建物などに接触すると飛行が停止するなど、細部まで忠実に再現されている。

 筆者は高所恐怖症かつVR酔いしやすい体質ながら、シミュレーターを体験してみると、シンプルな操作と映像のリアリティにより、恐怖を感じることなく楽しむことができた。よく知る都市の風景を空から眺める面白さが、それらの不安を上回ったようだ。

 飛行ルートは基本的に大阪市内の設定となっているが、リクエストにより他エリアへの変更も可能。飛行中の映像は大型ディスプレイにも表示され、同行者と一緒に楽しむことができる。

 テーマパーク内にはHEXAの実機、バッテリーやプロペラのパーツ展示、アメリカでしか手に入らないTシャツなどのグッズ販売もあり、ファンにはたまらない内容となっている。実機の見学は体験者とその同行者のみ可能。

写真:棚に並んだグッズ
販売されているHEXAのグッズ。
写真:展示された2機のHEXA、うち1機は万博仕様のカラフルな外観
隣接する格納庫には、万博でデモフライトを行った実機が置かれていた。

 シミュレーターの体験料金は1回3000円とやや高いように思われるが、体験した人の多くは満足度が高く、できればもう一度体験したいという声も少なくないようだ。

 体験料金に加え、入場料が必要になるが、8月16日から31日は入場料金割引キャンペーンを実施しており、大人500円(小児250円)とワンコインで入場できるので、この期間中に体験することをオススメしたい。

 運営時間や料金、予約方法については以下を確認してほしい。

【体験料金・入場料】

VRシミュレーター体験1回3,000円
入場料(8月16日〜31日)大人500円、小児250円(キャンペーン価格)


▼e METRO MOBILITY TOWN-未来モビリティ体験型テーマパーク
https://emetro-mobilitytown.jp/