写真:飛行する空飛ぶクルマ

 大坂・関西万博で注目されている空飛ぶクルマのデモフライトが、7月31日から開始された。大阪・関西万博の西ゲート奥にある「EXPO Vertiport(バーティポート)」では、8月24日までの期間、SkyDriveによる飛行デモが行われている。小さな子どもから大人まで、誰もが楽しめる空の近未来モビリティを間近で体験できる本イベントは、暑い中でも安全第一での開催が徹底されている。夏休みのお出かけにぴったりの、この話題のフライトの魅力を余すところなくお伝えする。

EXPO Vertiportで始まった「空飛ぶクルマ」デモフライトとは

 大阪・関西万博では、“空飛ぶクルマ”による未来感あふれるデモフライトが大きな注目を集めている。空飛ぶクルマの開発メーカーであるSkyDriveは、万博仕様の「SkyDrive式SD-05型」を使い、7月31日からデモ飛行を開始。

 8月24日まで、火曜・水曜を除く毎日、午前9時30分から飛行を開始するほか、当日の条件が整えば午前11時30分にも2回目の飛行が行われる。家族で訪れて、朝のひとときに見られるのは嬉しいポイントだ。

写真:ミャクミャクが描かれた空飛ぶクルマ
デモフライトに使用された万博仕様のSkyDrive式SD-05型。扉部分には公式キャラクターであるミャクミャクが描かれた。

SkyDrive「SD05型」の機体仕様

機体サイズ(全長×全幅×全高)約11.5m×約11.3m×約3m(ローター含む)
最大搭乗人数3名(操縦士1名+乗客2名)
動力源バッテリー(電動)
駆動方式12基のモーター・ローター
主要構造材料複合材(CFRP)やアルミ合金など
最大離陸重量1,400kg
最大巡航速度100km/h(対気速度)
航続距離15〜40km

7月31日フライト当日の様子――約3分間の空中アクション

写真:デモフライトを行う会場の様子
デモフライトには、多くの報道陣や一般来場者たちが見学に訪れ、空飛ぶクルマに対する関心の高さが伺えた。

 初のデモフライトが行われた7月31日は機体調整のため、午前9時45分からのスタートとなった。当日は少し風が強かったものの、SD-05型は高度約4mで約3分間、安定した上昇・ホバリング・前進に加え、その場で左右に回転するラダー動作も見せ、約50mの距離を飛行した。

 会場に集まった報道及び一般の来場者も「ミャクミャク」が描かれた可愛らしい機体に見入っていた。

安全重視の科学的な取り組みと今後の飛行展望

写真:空飛ぶクルマを背に話をする福澤氏
インタビューに応じたSkyDrive代表取締役CEOの福澤知浩氏。

 当日は、SkyDriveの福澤氏が報道陣のインタビューに応じた。「機体の開発を行っている山口県での飛行試験と比べ、大阪は気温が高いうえ海風の影響もあり、そうした条件下でも安定した飛行ができたのは大きな成果だった」と語る。

 最大3名の搭乗が可能なSD-05型は、万一プロペラが1つ故障しても飛行し続けられる設計で、安全試験も厳しく行われているとのこと。今後は海側への周回飛行も視野に入れており、1日2回、最低でも朝1回は飛行を継続したいと意欲を示した。今回はポート内のみの飛行だが、収集したデータは将来の実施へつなげる重要なものになるだろう。

他社の空飛ぶクルマも続々登場予定

 大坂・関西万博では、空飛ぶクルマの飛行を最大の魅力としており、SkyDriveに加え、丸紅、ANAホールディングス/Joby Aviationの計3機の飛行が予定されている。

 丸紅は米LIFT Aircraft社製の1人乗り機「HEXA」のデモフライトを4月より実施していたが、部品落下のトラブルにより一時中断していた。その後、7月から期間限定で飛行を再開したが、すでにデモフライトは終了している。

 他にもANAホールディングスとJoby Aviationの共同プロジェクトも発表されており、Joby Aviationの「Joby S4」が10月1日~13日の期間で飛行を予定している。万博会場では複数の空飛ぶクルマが一堂にそろう未来の展示として注目を集めている。

家族で楽しむための観覧時の注意点とマナー

 デモフライトの観覧には、いくつか注意点がある。特に夏季に家族連れで訪れる場合は、「猛暑対策が必須」だ。ポート周辺は日陰が極端に少なく、アスファルトの照り返しも強烈で、体感温度は非常に高くなる。熱中症のリスクが高いため、帽子や冷たい飲み物、携帯扇風機、タオルなどを事前に準備しておきたい。また、朝の時間帯は非常に混雑し、場所取りも困難になる。人が密集する中での日傘使用は、周囲の迷惑になるため控えるのがマナーだ。さらに、空飛ぶクルマは地上との間で通信を行っており、現地では多くの電波が飛び交っている。スマートフォンや電子機器は機内モード、または電波オフ設定にして観覧することが、安全確保の観点から強く推奨されている。

Vertiportへのアクセス方法と混雑対策

会場地図に示されたモビリティエクスペリエンスの位置
(出典:EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト)

 EXPO Vertiportは西ゲートからのアクセスが最も近いため、西ゲート予約が推奨されている。しかし、8月の万博会場は夏休み期間と重なり、過去最高レベルの来場者数が予想される。公共交通機関やシャトルバスの予約は非常に取りづらく、入場そのものが困難になるケースもある。現在、地下鉄「夢洲駅」から徒歩で西ゲートにアクセスできるルートが整備されているが、炎天下での長時間移動となるため体力的な負担が大きい。東西ゲート間を結ぶ有料シャトルバスも運行されているが、特に朝の時間帯は乗車待ちの行列が長く、予定通りに動けないことも多い。

 当日の運行状況や混雑情報は、EXPO 2025公式アプリ「EXPO 2025 Visitors」やSkyDriveの公式SNS(X/旧Twitter)で随時確認し、柔軟に対応しよう。

デモフライト日程・時間の確認はこちらから

 8月18日にSkyDriveのSD-05型が海上デモフライトを実施し、9月にはSkyDriveと大阪市高速電気軌道が整備した空飛ぶクルマ専用「大阪港バーティポート」にて、SD-05型のデモフライトが予定されている。8月18日以降、8月の大阪・関西万博でのデモフライトは海上飛行となる。

期間8月1日(金)~8月24日(日)
実施日日・月・木・金・土(火・水曜日は運休)
時間毎朝9:30~、条件次第で11:30~の2回目もあり

 詳細は公式ウェブサイトやアプリで確認できる。

期間2025年9月15日(月・祝)~9月23日(火・祝)
時間(1時間前より受付開始)第1部 9時30分から(9時15分以降は入場不可)
第2部 11時30分から(11時15分以降は入場不可)
定員各回先着100人(事前予約制)
料金無料
場所大阪港バーティポート(大阪市港区海岸通1丁目105番5地内及び地先)
最寄り駅:Osaka Metro中央線大阪港駅から徒歩約10分

 SkyDriveの空飛ぶクルマ「SD-05型」は、安全性に配慮しつつ、未来を感じる実演飛行で大人も子どもも楽しめるエンタメ要素満載だ。大阪・関西万博でしか見られない貴重なショーを、家族でじっくり楽しむには今がチャンス。暑さ対策・観覧マナーをきちんと守って、夏休みの思い出にぜひ加えてほしい。