日本電気(以下、NEC)は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する「次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト(以下、ReAMoプロジェクト)」の一環として空飛ぶクルマ向け運航管理サービス(以下、UATMサービス)を開発し、大阪・関西万博で有効性を検証する取り組みを2025年7月31日に開始した。実際に飛行する空飛ぶクルマでのUATMサービスの検証は国内初の試みとなる(※1)

※1 2025年8月1日時点、NEC調べ。

UATMサービスの画面イメージ。ウェブ経由で機体の動態モニタリングや飛行計画の登録、離着陸場の管理が可能(出典:「電子国土基本図(オルソ画像)(2007年~)」(国土地理院)をもとにNECが作成)
写真:飛行する「SKYDRIVE(SkyDrive式SD-05型)」
空飛ぶクルマ「SKYDRIVE(SkyDrive式SD-05型)」デモフライトの様子(2025年7月31日)

 次世代の移動・輸送手段として、空飛ぶクルマの社会実装に向けた取り組みが注目を集めている。一方、航空機やドローンなど多様なエアモビリティと共存し、安全で効率的な運航を実現するための運用方法の確立は今後の課題となっている。

 NECは、空飛ぶクルマが安全で効率的に運航できるようUATMサービスを開発している。2022年からはReAMoプロジェクトに参画し、研究開発項目②「運航管理技術の開発『低高度空域共有に向けた運航管理技術の研究開発』」において、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などと協力して取り組みを進めてきた。

 今回、大阪・関西万博においてデモフライト中の空飛ぶクルマに対し、安全性確保を目的として同サービスを提供し、有効性の検証を開始した。

検証概要

 大阪・関西万博の会場である夢洲にて、SkyDriveとJoby Aviation/ANAホールディングスが実施する空飛ぶクルマのデモフライトを対象にUATMサービスを提供し、有効性の検証を行う。期間は、2025年7月31日から10月13日までを予定している。

 同サービスは、飛行計画管理機能、動態情報表示機能、離着陸場管理機能、コミュニケーション機能を有している。今回の検証では、運航事業者が入力した空飛ぶクルマの飛行計画経路に沿って正しく運航されているかについて、大阪湾一帯に設置した受信機から動態情報を収集して適合性モニタリングを行う。また、空飛ぶクルマの運航状況や離着陸ポートの利用状況を関係者間で共有することで、運航事業者などは早期に状況を把握し必要に応じて運航調整を行うことが可能になる。こうした情報共有の仕組みが、安全かつ効率的な運航に寄与することを検証する。

 大阪・関西万博では複数の運航事業者による空飛ぶクルマのデモフライトが計画されているが、第一弾として2025年7月31日からSkyDriveによるデモフライトで検証を行っている。今後、Joby Aviation/ANAホールディングスが9月下旬から予定しているデモフライトにもサービスを提供し、同様の検証を行う計画だ。

 NECは、2028年をめどにサービスの商用化を目指すとしている。