2023年12月6日、愛知県日進市とNEXT DELIVERY、BOLDLY、中部大学は、2023年12月3日に「愛知県日進市における災害時を見据えたドローン物流実証実験」を実施したことを発表した。

 実証実験ではNEXT DELIVERYとBOLDLYが連携し、日進市が自動運転バスの運行管理システムとして用いている「Dispatcher(ディスパッチャー)」にドローンの運航情報を接続することで、 Dispatcher上で自動運転バスとドローンを一元管理することの有効性を検証した。

 愛知県のスマートシティモデル事業の一環として実施したもので、災害時にドローンで物資を輸送する際の飛行ルートを検討するとともに、社会受容性の向上を目指す。

(左から)中部大学副学⻑ 福井弘道 氏、名古屋商科大学学⻑ 栗本博行 氏、日進市⻑ 近藤裕貴 氏、NEXT DELIVERY代表取締役 田路圭輔 氏、 BOLDLY CTO 須山温人 氏

 愛知県のほぼ中央部にある日進市は、高度経済成⻑期であった昭和40年以降に住宅開発が進み、鉄道路線の開通を契機にさらに発展した。全国的に人口が減少する現在も人口の増加が続いている。一方、近年の大型台風や局地的大雨などにより、天白川の河川氾濫による被害の可能性が高まっている。また同市は、南海トラフ地震が発生した際に著しい地震災害が生じる恐れがある「南海トラフ地震防災対策推進地域」に指定されている。

 こうした背景から、想定される災害時の孤立問題や急務な物資輸送を解決する手段として、ドローン物流の実証実験を実施。平常時における住宅地での利用も見据え、住⺠の理解度向上や定期飛行に向けた課題の洗い出しも行った。

 実証実験では、災害時の天白川の氾濫などにより日進ニュータウンの地域住⺠が孤立して救護活動が必要になった場合を想定し、日進市総合運動公園から北山ふれあい広場へ(片道約1.5km)、AEDを約3分でドローン配送した。使用した機体は、エアロネクストとACSLが共同開発した物流専用ドローン「AirTruck」。

AEDを搭載したドローンが北山ふれあい広場に着陸する様子

 また、Dispatcherのドローン向け機能(Dispatcher for Drone)により、自動運転バスとドローンの両方をDispatcherに接続し、一元的に管理できることを確認した。自動運転バスを導入している日進市において、自動運転バスとドローンの運行管理を一元化することの有効性を検証した。

 今後、災害時の物資輸送に加え、買い物が難しい地域住民への飲食物や日用品の配送など、さまざまな場面でのドローンの活用を検討するとしている。

当日のDispatcherの画面