長崎県松浦市とセイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクスト、NEXT DELIVERY、KDDIスマートドローンは、2023年11月29日、松浦市において次世代高度技術の活用による新しい物流サービスの構築を目指した「離島におけるドローン配送」の実証実験を実施し、報道関係者に公開した。

 セイノーHDとエアロネクストが開発推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流SkyHubの社会実装の検討に向けて、NEXT DELIVERYとKDDIスマートドローンが連携して行った。今回の実証実験では鷹島の「道の駅 鷹ら島」に仮設のドローンデポ(※1)を設置し、ドローンを活用した離島間の配送サービスを実施する。

 なお同実証実験は、環境優良車普及機構により、令和4年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金交付対象事業(社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業)として採択されている。

※1 ドローンデポ:既存物流とドローン物流の接続点に設ける荷物の一時倉庫・配送拠点。

(左から)KDDIスマートドローン代表取締役社長 博野雅文氏、セイノーHD 事業推進部ラストワンマイル推進チーム新スマート物流推進プロジェクト課長 和田悟氏、松浦市長 友田吉泰氏、エアロネクスト代表取締役CEO・NEXT DELIVERY代表取締役 田路圭輔氏
ドローン配送した菓子を園児に手渡す友田市長(道の駅 鷹ら島)
アジフライなどの配送品を置いて離陸するドローン(船唐津港)

 長崎県の北東部に位置する松浦市は、伊万里湾の沖合に福島、鷹島、青島、黒島、飛島などの島々を有している。島には陸路やフェリーでアクセスできるが、近隣に商業施設が無いため高齢化に伴う買い物難民の課題を抱えている。また、フェリーを必要とする離島においては有事の際などに孤立する可能性があり、交通手段がない場合の物資輸送も課題であった。

 今回の実証実験では、松浦市の離島である鷹島を中心として、複数の離島を空で連結することを想定。橋で陸続きの鷹島と内地を陸上配送で結び、鷹島島内をドローンとトラックでハイブリッド配送することで効率化を図る。さらに鷹島から隣の黒島へドローンで即時配送するルートを構築し、緊急物資、買い物サービス、フードデリバリーのシナリオで配送サービスを提供する。

 住民の理解度向上、地域課題の洗い出しを目的として、道の駅 鷹ら島を仮設のドローンデポとして、船唐津港、黒島港にドローンスタンド(※2)を設置して実施する。

 ドローン配送ではエアロネクストとACSLが共同開発した物流専用ドローン「AirTruck」を使用。機体制御には、モバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を行うKDDIスマートドローンの「スマートドローンツールズ」の運航管理システムを活用した。

 報道関係者への公開では、道の駅 鷹ら島から船唐津港までの片道約7.3kmを往復約16分でドローン配送した。また、道の駅 鷹ら島から黒島港までは、片道約5.8kmを約13分で空輸した。

※2 ドローンスタンド:ドローン物流の起点と終点に設けるドローンの離着陸設備・スペース。

鷹島の海上を飛行するドローン
ドローン配送した食料品を受け取った様子(黒島港)
黒島港までドローンで配送したアジフライなどの食料品