2019年2月6日、長崎県五島市は、ドローンを活用した新産業・雇用創出を目指したドローンi-Landプロジェクトの一環として、2つの事業を開始したことを発表した。

【離島間無人物流事業】
 五島市では、離島間及び離島内や陸路でアクセスが困難な地域への輸送手段として無人航空機(以下、 ドローン)等の活用を計画している。
目的 離島地域における住民生活の利便性の向上
 具体的には、 以下を検討する。
 ・地域住民の生活必需品・食料品及び各種サービスへのアクセス手段を提供
 ・離島部からの集荷及び一次産品等の発送網の構築
 ・緊急時の医薬品等の輸送ルートの構築

前島全景

<実証実験の内容>
実施時期 2019年3月下旬(予定)
内容(予定)
・設置した気象観測装置の飛行判断基準としての運用の検証
・五島市内の奈留島-前島間(笠松港)の海上を、ドローン(e-VTOL型無人航空機*1)及び無人航行ミニボートを用いて港から港へ物資の輸送を行い、さらに無人陸上輸送用ミニカートを用いて荷物を配送*2。

*1天候状況によってe-VTOL型無人航空機以外の機体を飛行させる場合がある。
*2実証当日の天候状況及び各署の許可状況に応じて計画を変更する場合がある。

前島 江ノ浦港

 ドローンの飛行可否判断を目的として設置する気象観測装置は、初年度には風向・風速・降雨量・気圧・気温・湿度のデータの取得を予定しており、ドローンの運行判断に活用するのみならず、これらのデータの農業・水産業等他分野への活用が期待される。さらには、これら6種類以外のセンサーの追加が可能となっており、次年度以降の取得データの拡張が可能である。
 実証実験の詳細は、3月上旬に改めてリリースする。
・事業名 平成30年度離島間無人物流事業
・委託事業者 かもめや(香川県高松市)
  (https://www.kamomeya-inc.com/

【海洋ゴミ調査事業】

御岳から望む玉之浦湾

 五島市は一次産業が盛んで、水産業は重要な位置を占めている。また、同市は美しい海岸を有する観光地として、観光産業の成長に取り組んでいるとともに、世界遺産の島として構成資産を管理する責務を負っている。
 こういった状況と、世界的な目標である持続可能な開発目標(SDGs)を掲げる文脈の中で、海洋ゴミに係る調査事業を実施する。

砂浜に集まるゴミ(イメージ)

 初期は海洋ゴミの中でも海岸に漂着するゴミの量、種類、再漂流ゴミ量等を調査するために無人航空機(ドローン)を活用し、取得した画像データから分析し、分布等の季節性などのデータ化を行い、これらのデータを活用したより効率的なゴミ処理につなげる計画である。

三井楽北西部に位置する国名勝「みみらくのしま」

 今年度は五島市三井楽北西部の海岸で、週5日程度海岸線に沿ってドローンを飛行し、 画像を取得、ゴミの状況を画像から分析するため画像解析の専門家と連携を図りながら、効率的な海ゴミ処理の仮説立案と、海ゴミデータ分析用ソフトウェアの開発に向けた検討が行われる。