テラドローンが2017年6月15日、Looopが運営している大規模太陽光発電所(メガソーラー)で、赤外線カメラ搭載ドローンを使って太陽光発電モジュールの点検を実施したと発表した。Looopがメガソーラーの太陽光発電モジュールの点検に赤外線カメラ搭載ドローンを利用するのは今回が初めての例になるという。

 テラドローンが点検を実施したメガソーラーは、Looopが運営している「春の木ソーラー発電所」。2017年4月に商業運転を始めたばかりの新しいメガソーラーだ。所在地は茨城県水戸市鯉淵町(こいぶちちょう)で、敷地面積はおよそ15ha(14万7135平方メートル)。合計で3万2548枚の太陽光発電モジュールが並んでおり、合計出力はおよそ8.8MW(8846.8kW)となる。

春の木ソーラー発電所の全景。およそ15haの敷地に3万枚以上の太陽光発電モジュールが並んでいる(出典:テラドローン)

 Looopがメガソーラーの太陽光発電モジュールの点検にドローンを導入した大きな理由の1つと考えられるのが、2017年4月に改正施行となった「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(FIT法)」だ。改正FIT法では、太陽光発電所を運営する事業者に、発電所の設備を定期的に保守点検し、適切に維持管理することを義務付けている。

 Looopでは従来、メガソーラーに設置した太陽光発電モジュールを点検するときは、点検作業者が携帯型の赤外線カメラを持ち歩き、モジュール1枚1枚を撮影していたという。しかしメガソーラーには数万枚の太陽光発電モジュールが並んでいる。すべてを撮影するだけでも膨大な時間と手間がかかる。特に上段に並んでいるモジュールを撮影するには脚立などを使って、作業担当者が見下ろす形で撮影する必要があるのでさらに時間がかかる。時間がかかることを嫌って、脚立を使わずに撮影すると、撮影角度が浅くなり、正確な画像を撮影できない。

 ドローンを利用すれば撮影角度を簡単に調整できるので、上段のモジュールに限らず、すべてのモジュールを見下ろすように撮影できる。モジュール表面の赤外線の反射を避けるように撮影することも簡単だ。

 また、人手による点検では不具合を起こしているモジュールの位置を人間がすべて記録しなければならない。人手による作業にはどうしてもミスが付いて回るため、記録ミスにより、不具合を起こしているモジュールを修理するときに、正確な位置を再び確認することになるということもある。その点ドローンのよる撮影なら、俯瞰で写した画像が残るため、異常発生モジュールを特定することも難しくない。

 テラドローンによると、今回の点検は4人日(4人がかりで1日作業、1人で4日作業など)で完了したという。そして従来の手法ではメガソーラー全体の点検を完了させるには12人日が必要だったという。ドローンの導入で工数をおよそ1/3に削減できたことになる。そして、ドローンによる撮影で異常を検出した箇所をLooopが検証したところ、すべての箇所で異常が発生していることを確認できたという。

 テラドローンは今回実施した赤外線カメラによる点検サービスの精度をさらに高め、メガソーラー事業者の業務効率改善に貢献していくとしている。