テラドローンは2016年12月21日、レーザー測量に向けた固定翼型のドローンの開発を始めたと発表した。12月中に実証実験を進め、2017年4月の実用化を予定している。テラドローンは仏YellowScan社の「Surveyor」レーザー測量ユニットを利用した測量サービスを提供しているが、今回開発を始めたドローンでは英3D Laser Mapping社の「ROBIN」レーザー測量ユニットを搭載し、さらに精度の高い測量サービス提供を目指す。

 新開発の機体は一般的なマルチコプター型でなく、固定翼型を選んだ。マルチコプター型ドローンの積載重量は最大2kgだが、固定翼型ではこれを最大10kgまで上げることができる。これで、高精度だが重いレーザー測量ユニットが搭載できるようになる。

 固定翼型とすることで、飛行時間も延びる。マルチコプター型ではレーザー測量ユニットを搭載した状態での連続飛行時間は10~20分程度だったが、固定翼型ではこれがおよそ2時間まで延びるとしている。また、新開発のドローンは操縦者がドローンを見ながら操縦するものとせず、事前に設定した航路を自動的に運行するものになるという。

 先述の通り、対応するレーザー測量ユニットは2種類。1つ目はテラドローンが現在も測量サービスで利用している仏YellowScan社の「Surveyor」。±3cmの精度で測定可能で、1秒間に30万点を測定する。上空100mからの測量が可能だ。

仏YellowScan社のレーザー測量ユニット「Surveyor」。

2つ目は今回の機体開発で新たに対応する英3D Laser Mapping社の「ROBIN」だ。Surveyorよりも高精度な測量が可能になる。測定精度は±5mmで、1秒間に100万点を測定する。上空200mまで上昇しての測定も可能だ。テラドローンは2つの測量ユニットに対応することで、低コストでレーザー測量を希望するユーザーと、高精度かつ広範囲に及ぶ計測を希望するユーザーの両方の要望に応えるとしている。

英3D Laser Mapping社のレーザー測量ユニット「ROBIN」。高い精度で広範囲にわたる測量向き

 テラドローンはドローンを利用したレーザー測量で、大幅なコストカットを実現することを目指している。写真測量では地表データまで取得することが難しかった森林地域の測量も、レーザーを使えば正確に測量できる。また、急斜面や災害現場など、人が立ち入ることが困難な場所での測定もドローンを使えば簡単に済む。テラドローンは、太陽光発電施設設置前の森林地域の測量や、復興前の災害現場測量などに、レーザー測量ユニットを搭載したドローンの出番があると見ている。