2016年10月5日、筑波大学、常総市、国土地理院はブイキューブロボティクスと共同で、ドローンを水害時の情報把握に活用する検証実験を実施したと発表した。

水害の前兆となる出来事が起きた時、行政機関は地域住民に避難を呼びかけるなどの対応に当たる必要がある。その時、ドローンが撮影した現場のリアルタイム映像をどれくらい活用できるか検証するために、今回の実験を実施した。

実証実験は9月5日(月)に、鬼怒川の水害を想定して実施した。利用したドローンはアミューズワンセルフ製の「αUAV」。災害現場での利用実績が多いことを評価して選定した。

写真1:実験に使用した「αUAV」(出典:アミューズワンセルフ)

また、搭載しているカメラの画像を無線通信で遠隔地に送信する機能を持っていることも大きなポイントとなった。一般的なドローンでは、カメラで撮影した画像データをフラッシュメモリに記録することが多い。これでは、災害現場を撮影してもドローンが戻って来るまで状況をつかむことができない。

今回の実験では、ドローンが撮影した画像をリアルタイムで災害対策本部のスクリーンに写し、対応を協議することを想定しているため、撮影した画像を遠隔地に送信する機能が必要だった。

今回の実験で使用したαUAVは、撮影した画像(解像度は1920×1080)を1.2GHz帯の無線で送信することができる。そこでその信号を受信する受信機を用意し、それをゲートウェイに接続した。ゲートウェイはLTE通信機能を持っており、その機能で画像を送り出した。

災害対策本部で画像を受信するときもLTEを利用した。さらに、ドローンを操っているオペレーターにもLTE対応のスマートフォンを持たせた、つまり、ドローン、災害対策本部、オペレーターの3者間をLTEで接続したわけだ。これで、災害対策本部ではドローンが送信してくる画像を見ながら、オペレーターにドローンをどこに移動させるかといったことを指示する体制ができた。

実験では、この体制を作って現場の様子をリアルタイムで見ながら対策会議を開き、住民への避難勧告などの対策立案を実施し、ドローンからのリアルタイム画像によって、各種対策がどれくらいスムーズに進んだのかを検証した。

写真2:実験の様子。(左)河川敷で飛行を待っているドローン。(右)災害対策本部