中国DJIの国内販売代理店であるセキドは、3月3日から6日にかけて東京ビッグサイトで開催されたセキュリティ・安全管理総合展「SECURITY SHOW 2026」に出展し、ドローンポート「DJI Dock 3」をはじめとする遠隔運用型のドローン関連機器を展示した。警備、施設管理、インフラ点検といった分野での活用を想定した構成であり、セキドが同展示会に参加するのは今回が初となる。

 DJIは中国・深圳市に本社を構えるドローンメーカーで、民生用ドローン市場においては現在、世界の7割以上のシェアを占める圧倒的な存在である。日本国内でも空撮や農業用途を中心に幅広いユーザー層を有しているが、近年は人手不足を背景とした省人化ニーズの高まりを受け、警備や施設管理分野への展開を強化している。

ドローンポート導入が進む背景と「常設型運用」への転換

 今回の展示の中核となったのは、2025年2月に発売されたDJI Dock 3である。DJIは2023年から「DJI Dock」の名称でドローンポートの展開を開始しており、Dock 3はその最新モデルにあたる。防滴性能など環境耐性の向上に加え、同社のドローン「Matrice 4Dシリーズ」と連携し、自動発進・自動帰還を行う機能を備えている。

写真:「DJI Dock 3」
「DJI Dock 3」には、「DJI Matrice 4D/TD」を組み合わせて使用する。DJI Matrice 4Dは、4/3型CMOS 20MP広角カメラ、1/1.3インチCMOS 48MP中望遠カメラ、1/1.5インチCMOS 48MP望遠カメラ、レーザー距離計を搭載。上位機種となるDJI Matrice 4TDは、1/1.3インチCMOS 48MP広角カメラ、1/1.3インチCMOS 48MP中望遠カメラ、1/1.5インチCMOS 48MP望遠カメラ、赤外線サーマルカメラ、NIR補助ライト、レーザー距離計を搭載している。
写真:「DJI Matrice 4TD」の障害物検知モジュールをスタッフが指を差して示す様子
障害物検知モジュールを搭載した「DJI Matrice 4TD」。

 セキドの担当者によると、2025年時点で日本国内におけるドローンポートの販売数は200基以上に達しており、そのうち約100基がDJI製だという。従来、ドローンによる警備巡回は、現場に人が赴き機体を操作する運用が一般的であった。しかし、ドローンを格納したドローンポートを現場に設置することで、遠隔操作や自動飛行による無人巡回が可能となり、省人化やコスト削減に直結する運用モデルが現実のものとなっている。

 特に、工事の進捗確認や安全管理などでドローン活用の実績を持つ土木業界では、人手不足の深刻化を背景に、従来のスポット運用から常設型運用へとシフトする動きが顕著であり、ドローンポート導入への積極的な姿勢が見られる点が特徴的である。

AI連携による警備・監視の高度化と実証事例

 展示コーナーでは、DJI Dockとドローンを組み合わせた巡回ソリューションの具体的なユースケースを紹介していた。これらの事例では、単なる遠隔飛行にとどまらず、AIによる映像解析と組み合わせた高度な監視体制が構築されている。

 宮城県白石市では、東西約15kmに及ぶ漁場においてドローンを活用した定期監視が行われている。AIにより船舶や自動車の特徴が検出された場合には自動的に関係者へメール通知が送信される仕組みを構築している。DJI Dock 3に使用する「DJI Matrice 4D」には、AIを使った自動検知・撮影機能が標準搭載されており、船舶や自動車などの数を瞬時に把握することも容易に行える。

 また、千葉県東庄町では、児童の登下校時間帯にドローンを自動巡回させる取り組みが導入されており、見回りを担う教職員の負担軽減に寄与している。さらに、社会問題化している太陽光発電所における銅線盗難対策や、大規模施設の管理業務などにおいてもDJI Dockの活用が進んでおり、警備分野におけるドローンの実用性が着実に高まっていることが示された。

 セキドの担当者は、「ドローンにはすでに熱源や車両形状などをAIに学習させることができ、通常と異なる動きがあればアラートを発することも可能です。こうした機能を警備分野で活用していただきたい」と述べ、AI連携による付加価値の高さを強調した。

遠隔飛行デモとデータセキュリティへの対応

写真:展示ブースのDJI Dock 3と、モニターに表示された現地の飛行ルートなど
埼玉に設置されたDJI Dock 3を遠隔操縦する実演が行われた。DJI Dock 3には風速計や複数のカメラが備えられ、無人であっても現場の環境を確認することができる。

 展示会場では、東京ビッグサイトから約50km離れた埼玉県春日部市に設置されたDJI Dock 3を用い、遠隔操縦によってドローンを発進させる実演も実施された。方位や高度を変化させながら送電線点検や警備状況を想定した飛行を行い、その様子を大型モニターにリアルタイムで映し出す演出により、多くの来場者が足を止めて見入るなど、高い関心を集めていた。

 一方で、DJI製品を巡っては、ドローン運用データの取り扱いに関する安全性が国際的に議論されている。2025年末には、米国においてトランプ政権のもと、国防権限法(NDAA)に基づきDJI製ドローンの新規輸入および販売が事実上禁止される措置が取られた。

 この点についてセキドの担当者は、「中国国内で使用されるDJI製品は、取得したデータがアリババのサーバーに保管されるが、日本を含むそれ以外の国では信頼性の高いAmazon Web Services(AWS)で管理されています。取得したデータを悪用するのではないかという点が問題視されていましたが、現在は完全にクリアされています。また、遠隔運用プラットフォームであるDJI FlightHub 2にはオンプレミス版も用意されており、利用者の社内ネットワーク内でデータを完結させることができるため、外部サーバーを介さず機密性を確保できます」と説明。続けて「米国で新規輸入および販売が禁止されているのは、製品の信頼性の可否よりも政治的な要素が大きいと考えています」と話し、情報保全面における安全性を強調した。

 ドローン活用は、単なる機体運用からインフラとしての常設・遠隔運用へと進化している。DJI Dock 3を核としたソリューションは、効率的なドローン運用の実現に欠かせない。完全自動航行やAIによる画像認識など、理想としてきた次世代のドローン運用はすでに始まっており、警備・点検業務の省人化と高度化を同時に実現する手段として、今後さらに導入が進むことが予想される。技術と運用、そして制度の三位一体による社会実装の進展が、今後の重要な焦点となるだろう。

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