2026年3月23日、テラドローンは防衛装備品市場への本格参入を決定したことを発表した。また、国際的な防衛アセットの最適供給とロジスティクス網の構築を目的に、2026年度内をめどに米国法人「Terra Defense」の設立を目指す。

写真:海に向かってカタパルトにセットされた固定翼ドローン

 近年、国際情勢が急速に不安定化する中、国民の生命や財産を守る技術による抑止力の重要性が高まっている。テラドローンは、ドローン技術と実運用に基づく知見を活用し、迅速・低コスト・高機能な防衛アセットを提供することで、持続可能な次世代防衛基盤の構築に貢献する。

 2026年3月以降、緊迫する中東やインド太平洋地域を中心に国際情勢は急速に変化している。防衛の概念そのものが再定義されつつあり、主要国による防衛力強化を背景に、2024年度の世界の防衛関連支出は過去最高の432兆円(※1)を超えるなど、地政学的リスクへの対応は国際社会共通の最重要課題となっている。

 ロシア・ウクライナ戦争では、無人アセット(※2)として低単価なドローンが大規模に投入されており、世界各国では無人アセットの活用を前提とした新たな防衛システムの構築が加速している。

 世界の防衛用ドローン(UAV)市場規模は、2025年時点で約2兆5,169億円と推定され、2030年には約3兆6,335億円に達すると予測されている(※3)。日本でも2026年度予算案で、無人アセットを含む防衛能力の強化に約3,128億円(※4)という過去最大規模の予算を計上している。

 また、2027年度の体制構築を目指す多層的沿岸防衛体制「SHIELD(シールド)」構想では、無人アセットや各種センサーを組み合わせ、沿岸部を広域かつ段階的に防護する防衛体制の構築が検討されている(※5)

 テラドローンは、防衛市場の成長を見込み、中長期的な成長ポテンシャルを有する領域であるとして、防衛ニーズに即したソリューションの早期実装を進める方針だ。

※1 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)軍事支出データベース(https://www.sipri.org/databases/milex)および主要国公表予算に基づく合算推計。2026年3月19日現在の市場レート、1ドル:159.296円を適用。
※2 ドローン(無人航空機)、無人ボート(USV)、無人潜水艇(UUV)など、物理的な個々の兵器、機体、ハードウェアとしての装備品を指す。 出典:防衛省 陸上自衛隊 教育訓練研究本部 公開資料(https://www.mod.go.jp/gsdf/tercom/img/file2705.pdf
※3 MarketsandMarkets社 調査レポート“Military UAV Market – Global Forecast to 2030″(軍用無人航空機市場:2030年までの世界予測)のデータに基づく。2025年時点の158億ドルおよび2030年予測の228億ドルについて、2026年3月19日現在の市場レート、1ドル:159.296円を適用して算出。
※4 防衛省「我が国の防衛と予算(令和8年度概算要求の概要)」(https://www.mod.go.jp/j/budget/yosan_gaiyo/index.html
※5 防衛省「多層的沿岸防衛体制(SHIELD)の構築について」公表資料(https://www.mod.go.jp/j/budget/yosan_gaiyo/fy2026/yosan_20251226_summary.pdf

今後の取り組み

 今後、テラドローンは防衛分野の無人システムを中心とした領域において、市場ニーズの顕在化と拡張が進むことを見込み、主に以下3つの重点戦略に取り組んでいく。

今後の取り組み
  • 米国法人「Terra Defense」設立とグローバル・ロジスティクス網の構築
     国際的な防衛ニーズに対して迅速かつ柔軟な供給体制を構築するため、米国に「Terra Defense」を設立する。輸出入・技術連携を実施する上で、防衛アセットの輸出入・ロジスティクスを担う。Terra Defenseの設立は、2026年度内をめどにしている。
  • 段階的なグローバル市場展開
     地政学的リスクの高まりや無人アセットへの対応といった課題が国境を越えて共通化しつつある。世界全体の防衛関連支出のうち無人システム分野は、年率7.6%(※6)を超える成長が見込まれる重点投資領域とされている。テラドローンは日本に加え、ウクライナ、NATO加盟国、アジア諸国など国外でも海外法人を通じて無人アセットの展開を進める。

    日本政府が推進する多層的沿岸防衛体制SHIELD構想をはじめ、国内防衛基盤の強化に向けた民生先端技術の適応が求められる市場。
    ウクライナ変化の激しい現代戦の運用知見が日々更新される環境にあり、実戦的なフィードバックに基づく機動的な製品開発と、高い信頼性を備えた供給体制が不可欠な領域。
    NATO諸国地政学的緊張の高まりを背景に、欧州諸国において防衛予算の効率的な運用(経済合理性)と、迅速な防衛力増強に寄与する技術的支援のニーズが拡大している。
    米国欧米の厳格な防衛規格への適合が前提となり、日米同盟を基軸とした国際的な共同防衛ネットワークにおける相互運用性と持続的な協力体制が重視される環境。
    その他主要同盟国における採用実績が信頼の指標となり、アジアや中東など、共通の安全保障課題を抱える地域において、汎用性の高い防衛プラットフォームの需要が段階的に顕在化する市場群。

  • 陸・空・海を横断する次世代アセット・ポートフォリオの拡充
     防衛市場では、重要インフラを保護する多層的な防空・沿岸防衛システムを中核としながら、陸・空・海を横断する無人アセットへのニーズが段階的に拡大している。テラドローンは今後、各種ドローンの拡充に向けて製品開発を進める。具体的には、FPVドローン(光ファイバー)、迎撃ドローン(ロケット型・固定翼型・ジェットエンジン型)、無人ボート、偵察用ドローン、OSA対応ドローンなどを想定している。

    FPVドローン主に低空での偵察用ドローン等への対処を想定。一部モデルでは光ファイバー式を導入することで、電波妨害(ジャミング)環境下においても安定した運用を実現する。
    ロケット型迎撃ドローン高い経済性と量産性を備えた迎撃手段。多数の小型ドローンによる飽和攻撃に対し、最終防衛ラインでの効果的な対処を担う。
    固定翼型迎撃ドローン固定翼特有の広域哨戒能力を有する。対象を捕捉・迎撃しなかった場合には基地へ帰還・再利用が可能な設計で、高い運用効率と未然阻止を両立する。
    ジェットエンジン搭載型迎撃ドローン優れた速度性能と航続距離を有し、より遠方での早期検知・対処を目的とした次世代の基幹アセット。
    偵察用ドローン(ISR)高度な画像認識・センサー技術を搭載。リアルタイムでの戦域把握および情報収集に特化したアセット。
    無人ボート(USV)沿岸および海上の安全保障を支える無人アセット。
    OSA(政府安全保障能力強化支援)日本政府の同志国の安全保障能力向上を目的とした「OSA」の枠組みを通じて提供される日本製の機体。防衛・警備に特化した性能を持つ。

※6 市場調査レポート詳細:MarketsandMarkets “Military UAV Market – Global Forecast to 2030”(https://www.marketsandmarkets.com/Market-Reports/military-drone-market-221577711.html

テラドローン代表取締役 徳重徹氏のコメント

 ドローン技術の進化により、安全保障の在り方は不可逆的に変容しています。今回の参入決定は、テラドローンの長期的な事業戦略における重要な第一歩です。本格化する防衛力強化の動きに合わせ、各国のニーズに対応する製品の実装に注力してまいります。世界各地で培ったドローンの実運用の知見を活かし、国民の安全と国際的な抑止力を支える守りのDXを力強く推進していきます。