エアロセンスは「エアロボ」のブランドで、マルチローター型とVTOL型のドローン製品を展開している。特に国産ドローンとしては数少ないVTOL型を早くから手がけ、「エアロボウイング」として製品をラインナップ。2024年には「AS-VT01K」がVTOL型として日本初の第二種型式認証を取得している。同社は今回のCSPI-EXPO開幕に合わせて、6月18日にエアロボウイングの新モデル「AS-VT02K」を発表するとともに、同機をブースに展示して披露していた。

写真:展示されたエアロボウイング「AS-VT02K」
CSPI-EXPOの開幕に合わせて発表されたエアロボウイングAS-VT02K。外観はAS-VT01Kとほとんど変わらないものの、ユーザービリティを中心に大幅に改良が加えられている。

より小型で運びやすく!五分割構造で可搬性が向上

 エアロボウイングAS-VT02Kは、翼長2.1mの全翼式VTOL型ドローン。4つの離着陸用ローターと推進用のローターをひとつ備え、最高速度100km/h、最大59分という飛行が可能となっている。ペイロードは1.6kgで、胴体の内部に貨物を搭載できるほか、胴体下面に静止画、動画のカメラを搭載することが可能。

 こうしたエアロボウイングの性能から、これまで医薬品の搬送や長距離飛行による砂防ダムの広域巡視点検といった用途で利用されている。また、2024年1月に発生した能登半島地震の支援活動では、被災状況の調査などでVTOL型の特長を生かした長距離、広範囲の調査でも活躍した。

 AS-VT02Kは外観こそ先代のAS-VT01Kとほとんど変わらないが、これまで同社が取り組んできた実証実験やユーザーからのフィードバックを生かした改良が加えられている。「VT01Kではローターアームが機体と一体であったため、収納するケースが大きく、運搬には大きなクルマが必要であった。VT02Kでは胴体と左右のローターアーム、主翼の左右先端部という5つのパートに分割できるため、ミニバンでも運べるようになった」(説明員)という。

写真:AS-VT02Kの片側の翼を分解した様子
胴体、ローターアーム、主翼先端部に分解可能。各部の接合はクイックファスナーで固定できるようになっている。

 また、胴体には機体の点検用のほか、ペイロードの搭載用にハッチが追加された一方で、IP43の防塵・防水性能が与えられ、雨天時の飛行もできるようになっている。さらに、ペイロードとして従来の静止画カメラUMC-R10Cと動画カメラPVL-8Kに加えて、ソニーのフルサイズセンサーカメラILX-LR1や赤外線カメラPDL-300/VIO F1をオプションに追加。今後、LiDARにも対応する予定だとしている。

写真:AS-VT02Kのプロペラ部分
モーターやプロペラ、ESCを刷新。ESCは放熱効率を高めるために、ヒートシンクが表面に露出するデザインとなった。

 機体と地上の通信は2.4GHz帯の直接波とモバイル通信に加えて、新たにSRS(Smart River Spot)にも対応。このSRSは国土交通省が河川をドローンの航路として飛行させるためにこれから整備する高速通信回線網で、河川に沿って監視カメラとともに通信の基地局を設置し、川沿いを飛行するドローンがこの基地局を切り替えながら通信するというもの。国土交通省では2024年から25年にかけて、河川管理用UAVの実証実験および実用化試験を実施するとしている。

#CSPI-EXPO 2025 記事