近年、測量と点検事業に力を入れるテラドローンは、UAV用LiDARに加えてハンドヘルド型レーザースキャナーの新型を展示。さらに、今年1月に発表した屋内点検用の小型ドローン「Terra Xross 1」を公開した。発表と同時にアメリカでは発売されており、日本でも今夏から秋にかけて販売を開始するとしている。
ハンディ型スキャナーで森林や構造物内部も計測可能に――「Terra SLAM RTK」登場
「国際建設・測量展」ということもあり、UAV搭載用とハンドヘルド型スキャナーを中心に展示していたテラドローン。UAV搭載用ではRIEGL製のスキャナーを採用したTerra Lidar Xと、Hesai製のスキャナーを使ったTerra Lidar Oneを展示。いずれもDJIのMatrice 350 RTKや石川エナジーリサーチのビルドフライヤーに搭載できる。
またテラドローンでは近年、こうしたオリジナルのLiDARを手持ちで使えるようにしたハンドヘルド型SLAMも展開。森林の内部やトンネル、ずい道、構造物の内部といった、上空からでは計測できない空間において、手持ちで移動することで計測することができるハンディSLAMは、近年利用が広がっている。
今回のブースで展示していたTerra SLAM RTKは、毎秒32万点のスキャンレートのレーザースキャナーと3つの超広角カメラを備えたモデルで、専用タブレットとの組み合わせにより、現場でデータ化ができる。
狭所も低価格で安全に点検できる屋内用ドローン「Terra Xross 1」登場
こうした測量・計測機器に加えてテラドローンのブースでは、今年1月に同社が発表した屋内目視点検ドローンTerra Xross 1を展示していた。テラドローンはすでに超音波探傷検査用ドローンであるUTドローンを開発し、海外を中心に船舶やプラントの点検用途で同社のサービスとして提供を行っている。Terra Xross 1は同社がこうした点検用途に対して本格的に事業を展開するモデルであり、同社によるとテラドローンの点検分野における製品販売は国内外初だとしている。
Terra Xross 1は約35cmスクエア、1800gのクワッドコプター。機体の周囲をカーボン製のケージが取り囲み、障害物や点検対象物にぶつかってもすぐには墜落しないという、近年の狭所点検用ドローンにならったつくりとなっている。
機首にはビジュアルセンサーと並ぶ形で、上下にチルト可能な撮影用カメラを搭載。カメラの両側には最大1万ルーメンを超える明るさを持つLEDライトを備えており、暗所でも明瞭な画像の撮影ができる。また、機体後部にはLivox製のLiDARが搭載されており、リアルタイムに3D地図を作ることで暗所でも安定した飛行ができる。飛行は機体搭載のバッテリーのほか、有線給電モジュールも用意されており、常時給電することで、長時間の点検飛行が可能となっている。
同機は「海洋石油・天然ガス分野における脱炭素化等推進に係る日本財団-DeepStar連携技術開発助成プログラム」を活用し、テラドローンが独自に開発することで、既存の屋内点検用ドローンと比較して、約3分の1のコストを実現したとしている。同機は1月の発表と同時にアメリカで販売を開始しており、日本国内でも「この夏から秋にかけて販売する」(説明員)予定。日本における同機の価格は300万〜400万円程度になると見込まれる。
