産業用ドローンの開発・製造・販売を手がけるイームズロボティクスは、2025年6月4日から6日にかけて開催された国内最大級のドローン展示会「Japan Drone 2025」に出展し、同社が開発中の最新ドローンを披露した。
第三者上空のドローン物流を目指す、第一種型式認証申請中の「E600-100」
目玉となったのは、第一種型式認証の取得を申請中の物流ドローン「E600-100」だ。E600-100は、6つのプロペラを備えたヘキサコプター型ドローンで、全長・全幅ともに2m、機体重量は19.9kg。最大で5kgの荷物を積載し、約20分間の飛行が可能である。
現在、国土交通省航空局に第一種型式認証の取得申請を行い、レベル4飛行対応機種を目指して機体の改良・開発に取り組んでいる。同社の曽谷代表によれば、「今年秋から年内には第一種型式認証を取得したいと考えています」とのこと。型式認証を取得すれば、第三者上空など、より多様な場面でのドローン物流の実用化が期待され、ACSLの「PF2-CAT3」に続く2機種目の第一種型式認証機となる。
スピーカー搭載&物資投下も可能!能登地震の経験を活かした「Rescue-K」
もう一つの注目機体は、災害対応を目的としたドローン「Rescue-K」だ。本機は、第二種型式認証を取得済みの「E6150TC」をベースに開発されており、海や山での遭難者捜索や、災害時の支援活動に特化している。
Rescue-Kの機体重量は約22kgで、機体下部には物資投下システムを備えた専用ユニットを搭載。また、その上部にはスピーカーが搭載されており、被災者や遭難者に対して音声での呼びかけが可能である。さらに、衛星携帯電話を内蔵した投下カプセルも装備しており、通信手段の確保も意識した設計となっている。
このドローンは、神奈川県が公募した「令和6年度ロボット実装促進センター」のドローン開発支援事業に採択されて開発された背景がある。また、2024年1月の能登半島地震において、イームズロボティクスは現地で空撮や物資輸送を実施しており、その現場経験がRescue-Kの設計に反映されている。なお、ベースとなるE6150TCは型式認証機であるが、Rescue-Kは搭載する機器や仕様を変更して防災用に特化しているため、第二種型式認証は取得していない。
長距離の物流を実現!3年後の実用化を目指すVTOL機登場
展示会では、現在開発中のVTOL(垂直離着陸)型ドローン「EAMS VTOL」の模型も公開された。VTOL機は、従来のマルチコプター型ドローンに比べて長距離飛行に優れており、3年後の実用化を目指して開発が進められている。
曽谷代表は、「第二種型式認証を取得したE6150TCの販売は開始していますが、レベル3.5飛行について利用者の理解が進んでおらず、販売はまだ本格化していません」と述べた。そのうえで、「E600-100が第一種型式認証を取得した後は、福島のドローン特区で実証実験を重ね、ドローン物流の収益性を確認したいと考えています。最終的には、レベル4飛行によるドローン物流の全国展開を目指しています」と今後の展望を語った。
また、VTOL機については、「従来のドローンでは対応できなかった遠距離での運用に適しており、新たな市場開拓が期待できます」として、長距離輸送や広域監視といった分野への応用が見込まれている。
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