2025年7月23日から25日にかけて、東京ビッグサイトで開催された「メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2025(国際ドローン展)」にて、国産ドローンメーカーのACSLは、次世代小型空撮ドローンを初めて公開。さらに、開発してきたマルチユースドローン「PF4」の量産開始を発表した。
経産省採択プロジェクトとして開発中の次世代小型空撮ドローン
開発中の次世代小型空撮ドローンは、2023年10月に経済産業省の「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3)」に採択された事業の一環として開発を開始している。「行政等ニーズに応える小型空撮ドローンの性能向上と社会実装」を目的に、産官連携での実用化を目指す。
正式な機体サイズは未定とされているが、展示された開発中の機体は、「SOTEN(蒼天)」(アーム展開時:637mm×560mm/プロペラ含む)とほぼ同サイズであり、既存の運用体制への移行もスムーズに行える設計とし、SOTENで培ったノウハウも活かされている。
特徴としては以下のとおりである。
- デュアルカメラ搭載による多目的な空撮機能の強化
- 機体全体の軽量化による扱いやすさの向上
- ニデック製モーター「24X」を採用し、SOTENの飛行時間(約25〜30分)を最大40分へと大幅延長
- 高温環境への対応として、動作環境温度の上限を従来の40度から50度へと拡張
- SOTENに導入したセキュリティ機能を採用
開発は2025年内に完了予定で、2026年中の市場投入を目指している。ACSLの担当者は「SOTENは国産で情報セキュリティの観点から高く評価され、官公庁や国内企業に多く導入されています。次世代機においても“国産ドローン”を強みにその特長はしっかりと継承していきます」と述べた。
マルチユース向け大型ドローン「PF4」の生産開始
次世代小型空撮機に加え、物流・測量・設備巡視などマルチユースに対応可能な大型産業用ドローン「PF4」も展示された。
PF4の主なスペックは以下のとおり。
| アーム展開時サイズ | 2273mm×2500mm |
| 機体重量 | 19.4kg(バッテリー含む・物流仕様) |
| 最大ペイロード(積載量) | 5.5kg |
| 飛行時間 | ペイロードなし(70分)、最大ペイロード時(50分) |
| 最大航続距離 | ペイロードなし(50km以上)、最大ペイロード時(40km) |
| 対応飛行レベル | レベル3.5 |
機体内部には密閉型の貨物収納スペースが設けられており、雨天時でも荷物が濡れない構造を実現している。加えて、荷物は機体上部から積載することができ、機体下部に荷物を抱える設計に対して扱いやすく工夫されている。そのため、機体下部はスペースが確保されており、測量用LiDARや点検用カメラの搭載が可能で、さまざまな用途に応じた拡張性を持たせている。
さらに、通信面ではデュアルSIM対応により、LTE回線を用いた広範囲の遠隔操縦が可能となっている。
PF4はすでに2025年7月より受注を開始しており、同年10月からの量産開始を予定している。
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