2025年7月11日、三機工業とグループ会社のキャド・ケンドロは、レーザースキャナーと小型点検用ドローンによる既存設備のデジタル化手法を確立したことを発表した。

 リニューアル工事では、既存図や現状図が存在しない現場の対応が課題となっている。その対応策として、近年はレーザースキャナーで3Dモデリングを行い、既存設備をデジタル化する手法がある。しかしこの手法では、多くの配管やダクトがある天井裏や機械室などはレーザーが届きにくく3Dモデル化は困難で、一部修正を加えて完成させていた。

 この課題に対し、キャド・ケンドロの3Dスキャン技術と小型ドローンを組み合わせることで、精度の高い3Dモデルを効率的に作成する手法の実用化に成功した。

 使用する機体は、狭小・閉鎖空間でのインフラ点検実績を持つLiberaware(リベラウエア)社製の小型ドローン。同機は、能登半島地震の被災建屋内の調査や、埼玉県八潮市の道路陥没事故の現場調査でも活用されている。

データ処理の流れの説明図(点群撮影、動画撮影、点群生成、データ合成、データ処理、モデリング)
データ処理の流れ
撮影データ、点群データ、3Dモデル
3Dスキャナーとドローンによるモデル合成

【実用化検証内容・成果】

  • 実運用に必要な各種手続き(国土交通省への機体登録、無線局開局など)を実施。
  • 狭小・閉鎖空間の飛行で必要となる目視外飛行における安定飛行のための操縦トレーニングを実施。
  • 精度の高い3Dモデルを作成するための飛行方法や動画撮影条件を検証・確立。
  • 撮影動画から点群データ化、さらにBIMソフト(Rebro)データ化への一連のデータ処理方法を確立し、運用体制を構築。
  • 従来の3Dスキャン手法と比べ、機械室などの天井のない空間で完成部材数(認識できた建築部材)が約135%向上し、一部天井が解体された天井裏空間では約400%向上した。
  • 足場を用いた高所での測定作業が無くなり、現場の安全性が大幅に向上した。

 三機工業は、今後、拡大するリニューアル市場において、既存設備のデジタル化の需要が高まる中、3Dスキャン技術と小型ドローンを組み合わせ、将来的にはAI制御による自動飛行も視野に入れ展開を図るとしている。

ドローンを操縦するスタッフ、建物内を飛行するドローン
三機工業グループスタッフによる狭所での操作
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