2025年6月18日から21日にかけて、千葉県の幕張メッセで開催された「国際建設・測量展(CSPI-EXPO 2025)」において、レンタル大手の西尾レントオールは、同社がレンタルサービスを予定している除雪ドローンの試運転を実施した。この除雪ドローンは、陸上ドローンや水上ドローンの開発を手がけるエバーブルーテクノロジーズが開発したドローンである。
除雪作業の人手不足を解決する「除雪ドローン」
除雪作業は、大型道路ではブルドーザーや除雪車などの重機による対応が一般的であるが、歩道や住宅街の狭い道路、道路脇などでは除雪しきれずに人手による作業が必要になる。そのため、労力と時間がかかり、少子高齢化が進む中で人手不足も課題となっている。西尾レントオールは、こうした除雪の省力化ニーズを背景に、この除雪ドローンのレンタル展開を計画している。
設計の工夫で悪路の走破性・旋回性を高める
除雪ドローンの本体サイズはおよそ111×65×60cm、重量は約80kg。駆動方式は四輪独立駆動で、それぞれのモーターが独立して制御されることにより、力強い走破性と高い小回り性能を持つ。その走破性は斜度30度の坂道を登るほどであり、雪の多い地域の複雑な地形でも利用しやすい設計となっている。
さらにはフロントとリアが一体化しておらず、悪路を走行する際には、車体のフロントが捻じれる設計にすることで走破性を高めている。また、走破性においては、その大径のタイヤも大きく貢献している。非常にグリップ性の高いタイヤとなっており、雪の上のような悪路であってもしっかりと走ることが可能だ。
電源には鉛電池を採用している点が特徴である。一般的なドローンでは軽量なリチウムイオン電池を用いることが多いが、リチウムイオン電池は低温下では化学反応が鈍化し、性能が大きく低下する特性がある。これに対し、鉛電池は低温環境下でも安定した動作が期待でき、6~10時間の充電で約3時間の稼働を実現する。
操作面では、プログラムによる自動走行にも対応する一方で、道路や歩道などの狭い場所での除雪作業ではリモコンによる手動操作が有利だという。用途や現場状況に応じて運用方法を選択できる点も強みである。
実演で注目集める レンタルは2025年10月開始予定
展示会場では特設コースを設け、旋回性能や障害物を乗り越える能力などを披露した。来場者の注目を集める中、実演では実際の運用を想定した動きを分かりやすくアピールした。
西尾レントオールでは、2025年10月からこの除雪ドローンのレンタルを開始する予定で、高速道路会社などからすでに引き合いが来ているという。早ければこの冬シーズンから実際の道路で導入される可能性がある。同社では2026年までに100台の導入を目指す方針を示している。
