自動車や二輪車の駆動系部品メーカーであるエクセディは、近年、ドローン向けのプロペラやモーター、ESCを手がけている。今回の同社のブースは2024年10月に子会社化したWorldLink&CompanyのSkyLink Japanと共同で出展しており、こうしたドローン向けコンポーネントパーツのほかにも、SkyLink Japanで扱うドローン関連製品のほか、2023年12月に出資したトルコのドローンメーカー「Baibars」の消防用ドローンを展示していた。

独自形状で効率を追求した高効率プロペラ

 エクセディは2024年か1月から本格的にドローン用プロペラを量産している。同社のプロペラはヤマハ発動機の産業用マルチローター「YMR-Ⅱ」に採用されているほか、開発中の静音プロペラは双葉電子工業のドローンにも採用されている。ブースに展示されているこうしたプロペラの製品の中で、ひときわ異彩を放っていたのが開発中の高効率プロペラだ。

 一見、水中を泳ぐエイのヒレのように幅のある独特の形状をしたプロペラは、推力とトルクの比から導き出される効率を最大化したもの。根本は翼の幅があると同時に断面形状に厚みがある一方、先端部は薄く細い形状となっている。一般的に回転するプロペラは、根本と先端部で翼として空気を切る速度が違うため、ブレードに“ひねり”を持たせたものが多い。このプロペラはそれをシミュレーションによって最大限効率を求めた結果の形だという。近年ドローンメーカーからは、より長距離を飛行できる効率のよさを求める声が高く、この高効率プロペラを提案することでさらに市場のニーズを探っていきたいとしている。

写真:展示されたプロペラ(斜め上から見た様子)
写真:展示されたプロペラ(横から見た様子)
エイのヒレのような独特の形状の高効率プロペラ。

モーターに“冗長性“を。型式認証を見据えた新発想

 またエクセディではこうしたプロペラとともに、モーターやESCも開発している。今回のブースでは新たに「DDRモーター」を展示。2つのモーターを上下にくっつけたような形状のこのモーターは、内部に2つの独立したコアが1本のシャフトに取り付けられていて、万が一、ひとつのコアが故障しても、もうひとつのコアで駆動することができる。「近年、国内のドローンメーカーは型式認証を受ける機体を開発しているが、そうした機体には冗長性が求められる。ドローン用モーターを開発するエクセディとして、“冗長性というテーマに対してモーターで何ができるか”ということを考えた」(説明員)結果、この“冗長モーター”という答えを導き出したという。ただし、展示してあるものは1個のモーターでありながら、重量は2個分に相当するため、今後は軽量化が課題だとしている。

写真:モーター(斜め上から見た様子)
写真:モーター(横から見た様子)
開発中の“冗長モーター”。ひとつのアウターの中に2つのコアが収められている。

4000時間の運用実績有り。放水50mの消防ドローン「Cesur-Ⅲ」

 エクセディは2023年12月にトルコのドローンメーカー「Baibars Mechatronics Aviation Industry Joint Stock Company」(以下Baibars)に出資している。Baibarsはおもに農薬散布用ドローンの開発、製造、販売を手掛けているメーカーで、物流用や有線ドローンなどの開発も行っているドローンスタートアップだ。

 今回SkyLink Japanの扱う製品として展示していたのは、Baibarsが新たに開発した消防用ドローン「Cesur-Ⅲ(シーザー3)」。農薬散布用ドローンをベースにした機体は、56インチのプロペラを備えた、最大離陸重量115kgのクワッドコプター。最大25barの圧力で放水が可能なノズルを備え、最大で50mの距離からの放水が可能。すでに4000時間の運用実績があるといい、2025年3月には岩手県大船渡市を中心にした大規模な山林火災が発生したこともあり、全国の消防関係機関からの関心を集めているという。

写真:展示された「Cesur-Ⅲ」
写真:ドローンのノズル部分
Baibarsの消防用ドローン「Cesur-Ⅲ」。最大25barの圧力で放水可能なノズルは、交換することでさまざまな消火剤にも対応する。

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