写真:アミューズワンセルフの展示ブース

 測量用レーザースキャナと、それを搭載するための中型ドローンを、独自に開発、製造、販売するアミューズワンセルフは、CSPI-EXPO 2025の会場の中でもひときわ大きなブースを出展。レーザースキャナは2024年に発表した「TDOT 7」シリーズを展示する中で、新たにラインナップに追加した「TDOT 7 GREEN LITE」を披露。また、ドローンの製品は、中型クワッドコプター「GLOW」シリーズの第二世代モデルにあたる「GLOW.L Rev.2.0」「GLOW.H Rev.2.0」を展示していた。

 また、同社は2025年5月に大手総合商社の豊田通商から出資を受けている。豊田通商は2021年から長崎県の五島列島でドローン事業を推進する子会社そらいいなを通じて、二次離島に対してドローンを使い、医療用医薬品などを配送する物流事業を展開している。アミューズワンセルフのブースでは、このドローン配送に使われるZiplineの固定翼ドローンを展示。あわせて、ブース内のステージで、豊田通商とアミューズワンセルフが今後展開していくドローンプロジェクトについて紹介していた。

DJI M300/M350への搭載に対応した「TDOT 7 GREEN LITE」発表

 アミューズワンセルフでは、陸上用レーザースキャナとしてRIEGLのレーザーモジュールを採用した「TDOT 7 NIR」とその上位機種である「TDOT 7 NIR-S」をラインナップ。同時に水底の測量が可能なグリーンレーザーを使った製品を早くから手がけており、その最上位機種として「TDOT 7 GREEN」を2024年に発表した。一般的にグリーンレーザーは浅い水底の測量用として用いられるが、アミューズワンセルフではこれを陸上用としても使えるように広いFOVに加えて、パルスレート、走査速度、エコー数のいずれもひときわ高いスペックを与え、同社のレーザースキャナのフラッグシップと位置付けている。

写真:展示されたレーザースキャナ「TDOT」シリーズ
レーザースキャナ「TDOT」シリーズ。手前から「TDOT 7 GREEN」「TDOT 7 GREEN LITE」「TDOT 7 NIR-S」「TDOT 7 NIR」「TDOT 3 GREEN R」。

 今回のブースではこうしたTDOT 7シリーズのラインナップに加えて、新たにTDOT 7 GREENの小型軽量モデルとして新たにリリースした「TDOT 7 GREEN LITE」を展示。同機は上位モデルの計測性能はそのままに、重量を2.7kgに抑えているのが最大の特徴となっている。これにより、DJIの産業用ドローン「DJI Matrice 300/350 RTK」に搭載が可能となり、グリーンレーザーによる測量の機動性を大幅に向上させている。このM300/350RTKのペイロードに収まる軽量化は、ユーザーから数多く寄せられる要望を受けてのものだという。

写真:TDOT 7 GREEN LITEを搭載したMatrice 400
新たにリリースされた「TDOT 7 GREEN LITE」。重量が2.7kgに抑えられており、DJIのMatrice 300/350 RTKにも搭載可能となった(写真はMatrice 400に搭載した状態)。
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インテリジェントバッテリー採用で「GLOW」シリーズを刷新

 また、同社はこうしたレーザースキャナの搭載を前提にしたドローン「GLOW」シリーズを展開している。リチウムイオンバッテリーを動力源にするコンベンショナルなドローン「GLOW.L」と、長時間飛行が可能なエンジンハイブリッドドローン「GLOW.H」があり、今回の出展に合わせてこれらGLOWシリーズをフルモデルチェンジした。

 ハイブリッド機であるGLOW.Hも含めてバッテリーをインテリジェント化。GLOW.Lについては大容量のメインバッテリーを1本にする代わりに、小型のサブバッテリーを2本搭載して冗長性を確保している。また、4本のアームを折りたたみ式とすることで、格納時は55cm四方のスペースに収まり可搬性が向上。さらに、スキッドは離陸後跳ね上げることが可能となり、スキッドがレーザースキャナやカメラの死角を作ることがない。

写真:TDOT 7 GREENを搭載したGLOW.H Rev.2.0
第二世代となったエンジンハイブリッドドローン「GLOW.H Rev.2.0」。
写真:アームを折りたたんだ状態のドローン
4本のアームを折り畳むことで、55cmスクエアのスペースに収納することができる。
写真:FPVカメラ
FPVカメラと衝突防止センサーを新たに搭載し、モバイル通信にも対応したことで、“レベル3.5”飛行にも対応している。
写真:GLOW.L Rev.2.0
バッテリー駆動の「GLOW.L Rev.2.0」も第二世代に。GLOW.Hと同様のプラットフォームを採用しており、長いスキッドは跳ね上げ式となっている。

豊田通商がアミューズワンセルフと提携。幅広い分野でドローンサービスを展開

 CSPI-EXPOの直前に豊田通商によるアミューズワンセルフへの出資が発表されたこともあり、ブース内には豊田通商のドローン事業子会社であるそらいいなが運航するZiplineの固定翼ドローンが展示されていたほか、豊田通商のスタッフがブース内で両社の提携やアミューズワンセルフの製品について説明にあたっていた。

 豊田通商はこの出資によって、アミューズワンセルフが保有する技術やノウハウを導入し、ドローンによるインフラ・設備の点検や計測のワンストップサービスを展開するとしている。同時にドローン点検・計測事業を国内および海外へ展開するだけでなく。豊田通商グループが運営する太陽光や風力といった再生可能エネルギー発電設備の点検や計測、防災分野への進出も視野に入れているとしている。

「一般的なドローンは30分程度しか飛べないが、アミューズワンセルフには最大で4時間の飛行が可能なエンジンハイブリッドドローンがある。たとえば4時間かかる作業に対して、飛行時間が30分のドローンは離着陸を8回行うことになる。ドローンの運航で離着陸やその間のバッテリーを交換するといった時間は、価値を生まない。しかし4時間飛行できるドローンがあれば、それを1回で済ますことができ、大幅な作業の効率化や短縮が可能になる」(説明員)としている。

 豊田通商は、トヨタグループの総合商社であり、トヨタをはじめとした国内自動車メーカーの車両や部品の輸出を手がけている。「海外で生産される日本の自動車メーカーに対して部品を供給するのも、自動車メーカーには自動車を生産することに注力してもらい、発注から輸送、管理といった前後の工程を要件定義して豊田通商でサポートしている」(説明員)といい、「お客様のプロセスを丸ごと請け負って、お客様が集中すべき業務に注力していただくのが豊田通商の役目」(説明員)であり、ドローンでもサービスとして提供していくとしている。

写真:ブースに吊り下げて展示されるZiplineの固定翼型ドローン
アミューズワンセルフのブース内に展示されたZiplineの固定翼型ドローン。豊田通商の子会社そらいいなが長崎県の五島列島において、医薬品の配送などで運航している。

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