国産ドローンポートの開発が加速、VFRが主導
ドローンを活用した自動化社会の実現に向け、VFRは、ブルーイノベーション、Cube Earth、Prodroneと共同で、完全無人運用を目指した国産ドローンポートの開発を進めている。この取り組みは、経済産業省の「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3)」に採択されたプロジェクトであり、ドローンの離着陸自動化や保守作業の省力化を通じて、現場オペレーターが不要となるシステムの社会実装を目指している。
「Japan Drone 2025」で初公開された試作機は、日本主導で策定された国際規格「ISO 5491」に準拠。外部システムとの連携が可能な拡張性を備え、複数メーカーのドローンにも対応する汎用性の高い設計となっている。
国産ドローンポートの強みは「セキュリティ」と「柔軟性」
海外製ドローンポートが市場で先行する中、国産開発の意義について、担当者は次のように語る。
「海外製のドローンポートは、取得したデータが海外サーバーに送信されて悪用されるリスクがあり、セキュリティ面に不安があります。また、ユーザーのニーズに応じたカスタマイズが難しいという課題があります。国産では、データを国内サーバーで安全に管理し、用途に応じて形状や機能面でも柔軟なカスタマイズが可能です。国産・海外製の両方に選択肢を広げることで、国内のドローン市場の拡大を図りたいと考えています」
展示されたドローンポートはまだ試作段階にあるが、今後はCube Earthの上空管制システムや、ブルーイノベーションの情報管理システムとの結合試験を経て、2027年の本格的な社会実装と量産を目指す。
スズキの技術を応用したUGV点検ソリューションも展開
また、ブルーイノベーションはドローンだけでなく、地上走行ロボットを活用した点検ソリューションにも注力している。中でも注目されたのは、自動車メーカー・スズキの電動モビリティベースユニットを応用した点検ロボットである。
スズキが長年培ったハンドル型電動車いすの技術を転用したこのユニットは、泥道や段差のある悪路でも高い走破性を誇り、人が引く力を打ち消すほどの駆動力を持つ。前輪には電動ステアリングを搭載しており、細かな操縦も可能だ。実際、このユニットの足回りは、セブン-イレブンがロボット開発企業LOMBYと共同で行う屋外型自動走行ロボットの実証実験にも採用されている。
ブルーイノベーションはこの電動車いすの足回りの上にカメラや各種センサーを搭載し、遠隔操縦と自動走行の両モードで運用可能なUGV(無人地上車両)として開発を進めている。操縦インターフェースには、ドローンで一般的な2スティック型のプロポを採用し、現場作業者が立ち入ることなく、視覚と移動を代替する次世代点検マシンの実現を目指す。
さらに、大阪・関西万博に向けたブルーイノベーションの取り組みも加速している。万博会場上空では、同社の運航管理システム「SORAPASS」を用い、ドローンや空飛ぶクルマの位置をリアルタイムで監視する予定だ。日本UAS産業振興協議会(JUIDA)もまた、会場上空の空域利用ガイドラインを策定し、ドローン事業者からの飛行申請の審査や運航管理ルールの整備に携わる。
JUIDAの久保理事は次のように語る。
「ドローンや空飛ぶクルマ、ヘリコプターといった有人機が、同じ空域を同時に使用する事態は避けねばなりません。これを人力で管理するのは非常に困難です。きめ細やかな運航管理システムの構築が不可欠です」
空と陸、それぞれのフィールドで進む自動化と無人化の波。ブルーイノベーションの挑戦は、日本のドローン産業と社会インフラの未来を左右する試金石となるだろう。
#Japan Drone 2025 記事
