2025年6月4日~6日、国内最大級のドローン展示会であるJapan Drone 2025が開催された。その開幕直後、Prodroneは第一種型式認証の取得を申請中である新型ドローン「PD6B-CAT3」を初公開した。最大離陸重量は45kg、ペイロード(搭載可能重量)は18kgに達し、第一種型式認証機としては初の最大離陸重量25kg以上の機体となる。

Prodrone×JALエンジニアリングの連携で実現、次世代ドローンの全貌

写真:「PD6B-CAT3」と戸谷代表
「PD6B-CAT3」を発表し、第一種認証取得に向けた見通しを説明する戸谷俊介代表。

 Prodroneの戸谷代表は「開発はProdrone、製造はJALエンジニアリングが担当します。レベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)に対応する25kg超の機体は業界初であり、まさにゲームチェンジャーとなる存在です」と強調した。

写真:「PD6B-CAT3」
PD6B-CAT3。機体寸法は同社の従来機「PD6B-TypeB」とほぼ同等の約2.2×2.4×0.7m。
写真:機体下部にカーゴボックスを搭載した「PD6B-CAT3」
物流仕様には荷物を積載するためのカーゴボックスが換装される。一方、測量業務を行うPD6B-CAT3には、LiDARやレーザースキャナーなどの測量機器が下部に搭載される。

 PD6B-CAT3は当日、物流用のカーゴボックスを搭載した仕様で展示されたが、機体構造はモジュール化されており、下部構造(通称「腰下」)を用途に応じて交換可能である。測量業務での運用を見据え、LiDAR(ライダー)やレーザースキャナーを搭載した仕様での申請も進めている。将来的には放送用カメラなどを搭載する別仕様での認証取得も視野に入れているという。

 担当者は「レーザー測量市場は都市部でも拡大傾向にあり、レベル4飛行に対応することが必須です。そのため、物流仕様と並行して測量仕様の型式認証取得にも取り組んでいます」と説明した。

 PD6B-CAT3は、高い安全基準が求められる第一種型式認証機としての要件を満たすべく、アーム径を太くして剛性を向上。プロペラも従来の折り畳み式から一体型の一枚羽へ変更し、強度を大幅に高めている。さらに、飛行中に緊急事態が発生した際にはパラシュートを自動展開する機構を搭載しており、最大巡航速度での飛行中でもパラシュートによって安定した減速と着地が可能であることが実証されている。

写真:「PD6B-CAT3」のアーム部分
剛性強化のために太く頑丈なアームに変更された。これによって飛行の安定性が向上する。

 安全性検証の一環として、300mmの豪雨環境下での降雨試験や、福島ロボットテストフィールドでの長距離飛行試験も実施済みである。戸谷代表は「全社一丸で型式認証の取得に取り組み、工程の6〜7割まで進んでいます」と進捗を報告。現在は耐久試験中であり、2025年8月末に耐久試験を完了予定。その後、9月から10月にかけて物流仕様・測量仕様ともに型式認証の取得を目指す。

「コノプス」に基づく運用展開、都市部でのレベル4飛行も視野に

 型式認証取得にあたっては「ConOps(Concept of Operations):コノプス」と呼ばれる運用計画の策定が必要で、飛行空域についての定義も含まれる。PD6B-CAT3は当初、人口密度の低い地域でのレベル4飛行から運用を開始し、実績を積むことで将来的に都市部での飛行も可能とする方針である。機体価格は税別1200万円~を予定している。

水上・水中・農業現場でも活躍、Prodroneの多様なドローン技術

写真:着水ドローン
調査場所まで水中ドローンを運ぶ着水ドローン。機体上部にはGPS/RTKアンテナを備える。
写真:着水ドローンの下部に取り付けられた水中ドローン
着水ドローンの下部には、水中ドローンが取り付けられている。これを駆動して引っ張ることで、着水ドローンが水上を走ることも可能になるという。

 また、PD6B-CAT3以外にも、ブースでは同社の技術力を示す各種機体が展示された。なかでも注目を集めたのが「着水ドローン」で、大型フロートを装備し、水中ドローンと有線接続することで、離島や養殖場といったアクセス困難な場所での海中調査を効率化する。従来は人が現地まで赴く必要があった作業を省力化できる点で注目されている。

写真:
排気量32ccのガソリンエンジン(ハイオクガソリン)を動力源とする田助人(Tasketto)。機体寸法は1,570×450×740mm。8Lタンクを搭載し、8倍希釈の農薬で1haを散布可能。

 さらに、農業用のヘリコプター型ドローン「田助人(Tasketto)」も展示。ガソリンエンジンで駆動し、バッテリー型に比べて長時間飛行が可能になるだけでなく、充電作業の手間も省ける。機体重量は7.5kgと軽量で、一人で運搬しやすいのも大きな特徴だ。なお、最大8Lの農薬を積載できる。田助人の販売はキリックスグループを通じて行われ、すでに販売を開始している。

 今回の展示により、Prodroneが次世代型ドローンの開発でリードしていることが改めて示された。特にPD6B-CAT3は、レベル4飛行対応かつ最大離陸重量45kgという高性能を誇り、今後の物流・測量分野での活躍が期待される。

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