中国発ドローン企業GDU-Tech、日本市場での展開を本格化
中国・深圳を拠点とするハイテク企業GDU-Tech Co., Ltd.(普宙科技)は、Japan Drone 2025に初出展した。同社は2015年に設立し、従業員数は約600名。ドローンの研究開発から製造、販売、運用・保守、さらには低空域データの活用までを一貫して手がけている。
今回の出展では、日本市場参入に向けた戦略的ラインナップとして、産業用ドローンである「S200」「S400E」、自動ドッキングステーション、車載型ドローン運用システム「K05 Sky-hawk」などを展示した。
高性能産業用ドローン「S400E」とAI搭載「S200シリーズ」
主力機種のS400Eは、最大離陸重量7kgを誇り、最長1時間以上の飛行および最大5,000mの高高度飛行が可能である。8K高解像度カメラと1K解像度の赤外線カメラを標準搭載し、災害対応やインフラ点検など、過酷な環境下での精密な作業に対応する。
搭載可能なクアッドセンサーカメラ「RQL01」は、3台のカメラとレーザー距離計を備えており、ターゲット認識、モーション分析、といった画像処理機能を搭載。これによって電力線の障害検出、人物の顔認識、モーション検出などが可能だ。そのほか、ペイロードにはデュアルセンサーカメラ「PDL-300」、LiDAR「PLI01」がラインナップされている。
一方、小型産業用ドローンのS200シリーズは最大離陸重量2050gとコンパクトながら、最大飛行時間は約45分、8コアプロセッサーを内蔵し、21TOPSの演算能力を備える。これにより高度なビジュアルインテリジェンス(画像認識・処理)機能を実現しており、スマートな業務支援が可能である。搭載可能な機器はデュアルセンサーカメラのほか、トリオセンサーカメラ、サーマルカメラ,スピーカー、サーチライトの5種類が用意され、幅広い業務に対応できるのが強みだ。
自動バッテリー交換・充電に対応した最新ドッキングステーション
ドローンの完全自律運用を支えるのが、自動ドッキングステーションK02とK03である。K02は自動バッテリー交換式、K03は自動充電式となっており、いずれもIP等級の防水・防塵性能、加熱・冷却機能を備える。日本特有の雪、雨、風といった厳しい気象条件下でも安定運用が可能だ。ドローンはミッション完了後、自ら帰還して充電またはバッテリー交換を行い、次の飛行へと即座に移行できる。
車載型「K05 Sky-hawk」が実現する移動式ドローン運用
展示の中でひときわ注目を集めたのが、日本初披露となる「K05 Sky-hawk 車載ドローンシステム(スタンダード)」である。SUV車両のルーフキャリアに設置可能なこのシステムは、わずか25kgという軽量設計で、ドローンの自動離着陸および急速充電を実現する。
担当者は「車両走行中でもドローンを自律飛行させ、車を追従しながら周囲を監視・撮影できます。まるで“神の目”のように、上空から全体を把握できる新しい視点を提供します」と語る。コンセプトとしては非常に興味深いが、残念ながら2025年6月時点の日本においては、法規制の関係から公道では使用できず、中国ではすでに活用が始まっているという。
ドローン産業の成熟度に高評価 GDU-Techが見る日本市場の可能性
同社は初出展にあたり、日本市場の成熟度と技術水準の高さに注目している。担当者は「日本のドローン産業はすでに電力線点検などの現場で実用化が進んでおり、他のアジア諸国と比較しても非常に先進的です。市場が大きく、新技術への受容性も高い」と分析する。
車載システムの市場性についても、「日本にはトヨタ、ホンダ、日産、スバルといった世界でも多くのシェアを誇る自動車メーカーが存在し、大きな自動車市場を有しています。このソリューションには非常に大きな可能性があると確信しています」と強い期待を示した。
展示会では産業界の専門家から研究機関、学生に至るまで幅広い来場者が訪れ、GDU-Techの製品・技術に対する関心の高さがうかがえた。「皆がドローン業界の最新動向を知りたがっており、日本は中国と並びアジアにおけるドローン技術のトップランナーです」との手応えを語る。
現在は日本国内にごく少数のパートナーを有するのみだが、GDU-Techは単なる製品提供にとどまらず、各種ペイロードとの組み合わせによるソリューション提供を重視している。今後は包括的なドローンエコシステムを通じて、日本市場での本格展開を進めていく方針である。
#Japan Drone 2025 記事