「全長約5m・250kg・20分飛行」トピアが挑んだ大型ドローン開発

写真:トピアのブースに展示された大型ドローン

 自動車の試作などを手がけるトピアは、Japan Drone 2025において、超軽量なカーボン素材を独自の成形技術で開発した大型ドローンを初展示した。

 同社が展示したヘキサコプター型のドローンは、全長約5m、最大離陸重量250kg、飛行時間20分というスペックを誇る大型機である。2024年9月に設計を開始し、わずか5か月後の2025年1月には初飛行に成功。短期間での開発を実現した背景には、同社が長年自動車などで培ってきたカーボン成形技術や試作のノウハウがある。

 展示された大型ドローンは、トピアの技術力を認知してもらうために開発したプロトタイプであり、この機会を活かしてドローンの生産や販売を担うパートナー企業を募っている段階だという。

写真:展示された大型ドローン(正面)
写真:展示された大型ドローン(斜め前方)
トピアが試作したドローン。機体は全長約5mの大型機。

カーボン成形技術の真価!アーム構造とプロペラに込めた職人技

 トピアは、自動車をはじめとする輸送機器分野において、金属・カーボンなどの素材加工に強みを持つ試作・設計・製造企業である。大型ドローンの開発は神奈川県平塚市にある神奈川事業所を中心に進められた。同事業所は、国内のツーリングカーレースに参戦する車両のパーツ制作などを手掛けており、軽量かつ強度の高いカーボンの成形や加工を得意としている。

 機体やプロペラは、このカーボン成形技術を活かして製造された。特に注目されるのは、モーターと機体を繋ぐアーム部分の構造で、一般的なパイプ構造ではなく、推力を効率的に伝達できる専用設計が施されている。

写真:展示されたカーボン製のプロペラ3枚
ドローンのために試作されたカーボン製のプロペラを採用。一般的なカーボン素材で成形したプロペラが、531.6gであるのに対し、トピアのプロペラは297.7gまで軽量化されている。

 また、カーボンで成形されたプロペラが展示されていたが、通常のカーボン製プロペラと比べてみても、同社の大型ドローンに採用しているプロペラは一段と軽量なのが手に取ると分かる。一概にカーボンと言っても、多様な種類や成形方法などがあり、展示されたドローンには同社の専門技術が活かされている。

製品化しない理由とは? 技術力を武器にドローン業界へアピール

 プロトタイプとして展示された大型ドローンは、製品化を目的としたものではなく、同社の設計・製造能力に加え、その迅速さを対外的に示したものである。トピアは今回の展示を通じて、ドローン本体を製造・販売するのではなく、開発パートナーとして他企業と連携する道を模索している。

 展示ブースでは、軽量化とバランス性に優れたカーボン製プロペラも紹介され、来場者から高い関心が寄せられた。短期間での設計から組立てまでを実現した実績は、今後の共同開発を視野に入れる企業にとって大きな魅力となるだろう。

 担当者は「当社はドローンの販売は目的としていません。ドローンの製造・販売を担う企業とパートナーを組み、設計から製造までトータルにサポートできるサプライヤーを目指しています」と話した。

#Japan Drone 2025 記事