東京航空計器株式会社は、Japan Drone 2025にKODENグループである光電製作所およびTKKワークスと共同で出展した。80年にわたり電波方向探知機やレーダー、有人航空機用の計器類の開発を続けてきた同グループは、今回の展示を通じて、ドローン分野への本格参入を目指している。

高速×安定×国産技術で独自性を持たせた次世代ドローン

 出展の目玉の一つが、独自のフライトコントローラーを搭載した二重反転プロペラ型のドローンである。この機体は高出力無線(1W)により長距離通信を可能とし、AIカメラによる自動物体認識機能を備えるなど、次世代の産業用ドローンとしての性能を有する。

写真:展示された二重反転型ドローン
二重反転型ドローン。上下のプロペラでトルクを打ち消し、テールローター不要のコンパクト設計を実現。最高時速110km/h、最長1時間飛行が可能。

 主なスペックは以下の通り。

ローター径1820mm
機体サイズ全長1050mm × 全幅410mm × 全高900mm
機体重量20kg
標準離陸重量35kg
最高速度時速110km
最大航続時間1時間

 二重反転構造とは、上下に配置された2枚のローターが互いのトルクを打ち消し合うことで、機体の安定性を高める仕組みである。これにより後部ローター(テールローター)が不要となり、機体のコンパクト化にもつながる。特に横風への耐性が高く、海上など風の強い環境でも安定した飛行が可能だ。

 担当者は、「ヘリコプターでも最高速度記録を持つのはこの構造です。今回はその技術をドローンに応用し、高速かつ安定した飛行が可能な機体を開発しました」と述べた。

総務省納入実績あり、空の安全を守る高精度ドローン検知システム

 また、同社が長年培ってきたレーダー・電波方向探知技術を活かし、新たに開発した「ドローン検知システム」も注目を集めた。

写真:ドローン検知システム
独自アルゴリズムで高速飛翔体を迅速検知するドローン検知システム。将来的には、二重反転ドローンに検知システムを組み込むといった可能性も模索しているという。

 このシステムは、独自のアルゴリズムにより、高速で飛来する対象をリアルタイムで検知。複数機同時検知や、周波数ホッピングに対応しており、最大10kmの検知距離、360度全方位のカバー、±1度以内の方位精度、10〜30ミリ秒の高速検知を実現している。

 筐体サイズは300×250×200mmと非常にコンパクトで、従来比で体積が1/70に。低消費電力で車載利用にも最適化されており、6GHz帯までの周波数に対応。遠隔からの閲覧・制御機能も備え、現場での柔軟な運用を可能としている。

 同社はこれまでも総務省など官公庁向けに電波方向探知装置を納入してきた実績があり、今回のドローン検知システムはその延長線上にある。「方向探知技術のアルゴリズムを応用することで、高速飛翔体も検知可能です。軽量で電池駆動もできるため、どこにでも持ち運べます」と、実用性の高さを担当者は語った。

展示会での反響と今後の展望

 展示会では、インフラ系企業を中心に多数の関心が寄せられた。「過酷な環境でも飛行できる国産ドローンを求める声」や、「ドローン検知の重要性の高まり」に対する関心が多く、特に「国産技術」に対する信頼と期待が高まっているという。

 担当者は、「海外製品への不安を抱える声も多く、国産へのニーズが確実に存在します。今回の展示を通じて得たフィードバックをもとに、今後の製品化を検討していきたい」と語っている。

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