写真:飛行する空飛ぶクルマ

 4月9日に行われた2025年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)のメディアデーにおいて、SkyDriveの空飛ぶクルマ「SkyDrive式SD-05型」の公開フライトが会場内の「EXPO Vertiport」にて実施された。4月のデモフライト実施については調整が進められていたが、大阪・関西万博で選定された空飛ぶクルマの運航事業者の中では初めての成功事例で実機の公開も初めてとなる。夏頃を予定する2地点間飛行・周回飛行の実施にも一歩近づいた形だ。

写真:飛行する空飛ぶクルマ
写真:話をするSkyDrive代表取締役CEO 福澤氏
大阪・関西万博会場内で空飛ぶクルマのデモフライトが初公開された

 公開フライトは安全を重視するためパイロットは搭乗せず、自動制御とリモート操縦による無人飛行で行われた。約5メートルの高度を約4分間飛行し、その間に機体の垂直上昇と降下、前後左右の水平移動、旋回を行い、いずれも安定した飛行性能を見せた。機体の大きさに対し飛行中の騒音もそれほど大きくなく、ちょうど上空を飛行していたヘリコプターと比べるとかなり小さい印象であった。日中は晴天だがやや風が強く、海側にあるバーティポートは飛行に影響するのではないかと思われたが、午後5時の公開フライトにあわせたかのように風が止み、ほぼ完璧な条件でのお披露目ができたといえる。

 SkyDrive 代表取締役 CEO 福澤 知浩氏は公開フライト後の会見で「今日の内容は昨年から弊社で行っているテストフライトのうち、会場の条件にあわせて計画したもので、全て行うことができた。ポートを使用する条件なども検証でき、これをもとに夏の飛行に向けて試験を続けていく」と述べた。デモフライトは機体認証に向けた簡易試験にもなることから、基本的に無人で行い、全てのデータを収集して、大阪メトロと進める2028年の商用運航実現を目指す。

写真:会見を行う福澤氏ら

 そうした動きにあわせて社会気運の醸成も必要となり、「大阪・関西万博は未来のモビリティである空飛ぶクルマについて、多くの人に知ってもらう大事な機会であり、実際に飛ぶ姿を見てもらいたい」とも話す。活用については、都市部では移動時間の短縮、地方では観光での利用、防災での利用についても展開が考えられているとあらためて紹介された。同じ性能のヘリコプターよりも価格が下がるという話もあり、地球環境にやさしいという点でも今後も開発が進むことが期待される。

写真:空飛ぶクルマを充電する様子
バーティポートで充電を行うところも公開された

 次回は4月12日の開幕祭での飛行を予定しており、その後もタイミングがあえば随時開催するとしている。また、会場の大屋根リング内にある展示施設「空飛ぶクルマ ステーション」では、SkyDrive式SD-05型機のフルスケールモックアップが展示され、実際に乗り込むことができる。SkyDriveでは現在、日本以外に5カ国ほどからプレオーダーがあるというが、世界から参加者が集まる場所でのデモフライトや展示によって、さらに関心が高まるかもしれない。

写真:空飛ぶクルマ ステーション入り口
運航事業者が展示を行う「空飛ぶクルマ ステーション」

 またSkyDriveでは、豊田市にある自社開発施設で行われたSkyDrive式SD-05型初号機の試験飛行の様子を開発ストーリーとあわせてオンラインにて公開している。

▼SkyDrive式SD-05型初号機の試験飛行

出典:SkyDrive YouTubeチャンネル

▼開発ストーリー

出典:SkyDrive YouTubeチャンネル

▼参照記事:万博と会場外を結ぶ「大阪港バーティポート」を公開―搭乗体験などイベントも開催し商用運航を目指す
https://drone-journal.impress.co.jp/docs/event/1187157.html

▼2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)
https://www.expo2025.or.jp/