2025年3月25日、東陽テクニカは、SkyDriveが大阪・関西万博でデモフライト予定の空飛ぶクルマ「SKYDRIVE」(SD-05型)の飛行試験において、機体の安全性や耐久性向上の評価において設備の構築や試験の支援をしていることを発表した。2025年2月、SkyDriveは飛行試験の様子を公開した。

写真:飛行する空飛ぶクルマ
「SKYDRIVE」(SD-05型)の飛行試験の様子

 SkyDriveは、現在、SKYDRIVE(SD-05型)の型式証明(※1)取得に向けた機体開発を進めており、2025年に開催される大阪・関西万博でのデモフライトを予定している。

 東陽テクニカは、2022年12月にSkyDriveとサポーター契約(※2)を結び、安全性や耐久性向上に向けた支援を行っている。

 現在、東陽テクニカが設計から構築まで携わった「電動推進システム評価ベンチ(eVTOL用アイアンバード)」を含む統合評価ベンチ装置で安全性を向上させる評価試験を実施しており、耐久性の性能評価において必要な耐久風洞設備も同社が構築した。実証機を用いた全機試験(※3)において試験の計画・リスク評価や各種ドキュメント作成、実際の試験実施に対して人的支援も行っている。こうした中、2月にSKYDRIVEの飛行試験が公開された。

 東陽テクニカは、海外パートナーとの試験アライアンス構築、試験管理ツールの独自開発にも取り組んでおり、欧米の技術も取り入れながら国内でのeVTOL試験の技術向上に寄与することを目指し、設備構築だけでなく試験支援サービスの事業化を進めている。

※1 型式証明:国土交通省が航空法に基づき、新たに開発された航空機について、その型式ごとに設計、構造、強度、性能などが所要の安全基準および環境基準に適合していることを証明するもの。この証明のため、強度試験や飛行試験など、各種審査が行われる。

※2 サポーター契約:SkyDriveにおけるサポーター契約とは、契約締結企業から部品割引や工数提供という形で支援を受けながら、空の産業革命を創造していくプログラム。

※3 全機試験:航空機の開発や運用において、安全性や性能を確認するために行われる試験の総称。機体の強度や耐久性の試験、操縦性、安定性の試験、過酷な条件下での耐久性試験など、安全基準を満たし実際の運航に耐えうることを証明する重要なプロセス。

電動推進システム評価ベンチ

 空飛ぶクルマといったeVTOLの「電動推進システムの評価用ベンチ(eVTOL用アイアンバード)」で、シミュレーターと連動しながら負荷をコントロールすることで、ベンチ上でさまざまな模擬飛行を実施する。12個の被試験モーター、ESC(Electric Speed Controller)へ回転数指示を与え、対向するダイナモメータ-で負荷をかけることで推進システムの性能評価を行う。短絡などの異常状態を模擬する機能も備え、異常時の挙動を評価することも可能。

【主なシステム構成】

  • バッテリーシミュレーター(大容量双方向直流電源システム)
  • 低電圧用DC電源(電力回生式・双方向直流電源装置)
  • ダイナモメータ-、トルク計
  • 計測ソフトウェア など
東陽テクニカ製「電動推進システム評価ベンチ」
左:トルク計、右:バッテリーシミュレーター

耐久風洞設備

 飛行中に受けるさまざまな荷重を模擬し、ローターやモーターの耐久性を評価する試験を実施する。eVTOLはヘリコプターやプロペラ機とは異なる荷重を受けるため、解析とともに長時間の試験で耐久性を実証していく必要がある。この設備でローターやモーターの耐久性を評価し、型式証明取得や安全性の向上に活用されることが期待されている。

耐久風洞設備