写真:壇上で話をする鈴木真二理事長

 日本UAS産業振興協議会(以下、JUIDA)は1月27日、東京都千代田区の東京會舘で「JUIDA新年の集い2025」を開催した。この新年の集いは、JUIDA会員である無人航空機産業関係者のほか、国会議員などが一堂に会し、ドローン産業のさらなる発展と飛躍を祈念し、交流・連携を深めることを目的に開催されている。今年は会員や関係者ら約170人が出席し、交流を深めた。JUIDAの鈴木真二理事長が1年の活動内容を報告するとともに、今年のスローガン「JUIDA未来創生元年」を発表した。

『未来創生元年』をスローガンに、さらなるドローンの社会実装、社会貢献を目指す

写真:壇上で話をする鈴木氏
日本UAS産業振興協議会 鈴木真二理事長。

 開会挨拶として鈴木理事長は、2024年7月にJUIDAが創立10周年を迎えたことについて感謝の意を述べるとともに、主な活動や現状を紹介した。昨年12月の時点でJUIDAの会員数は2万7875人、2015年からスタートした認定スクールが海外1校を含め223校、操縦技能証明や安全運航管理証明取得者は3万人を超えたことを話した。

スライド:ライセンス事業の促進(ドローン防災スペシャリスト教育)
ドローン防災スペシャリスト教育講座が1月よりスタート。

 また、会員サービス拡充のために監修施設として関わった板橋ドローンフィールド、今年1月15日に石川県加賀市にドローン用飛行場「JUIDA試験飛行場 加賀 ホテルアローレ飛行場」がオープンしたこと、ドローン防災スペシャリスト教育講座も1月より開始したことを報告した。

スライド:国際標準化の促進
「ISO/TC20/SC16総会」においてフライトシミュレータに関する規格について提案予定。

 今年より国際的な連携を強化する活動を進めており、海外28か国(41団体)と連携して国際的なドローン産業育成を目指すと話した。その1つの取り組みとしてドローン関連の国際標準化促進のために、2021年2月に発行された日本発のドローン関連ISO規格であるISO23665=UAS運用に関わる人材の教育にJUIDAが尽力したことを紹介。また、ドローン教育に関わるフライトシミュレータに関する規格について今年11月に東京で開催される「ISO/TC20/SC16総会」において提案予定で、JUIDAが無人航空機国際標準化国内委員会事務局を担う。

 主催イベントとしては、2016年の初開催から第10回を迎えるJapan Drone 2025と併催の次世代エアモビリティEXPO 2025を6月に開催予定のほか、4月に開幕する大阪・関西万博のオフィシャルスポンサーとなっており、万博会場上空でのガイドライン作成や各国の飛行申請支援を行う予定だ。

スライド:災害支援活動(ドローン民間防災組織「JUIDA-D³(ジュイダ・ディーキューブ)」設立予定)
ドローン民間防災組織「JUIDA-D³(ジュイダ・ディーキューブ)」の設立を準備中。

 また、昨年の能登半島地震でのJUIDAと協力企業29社の体制構築の経験により、事前の防災協定締結が重要かつ迅速に災害支援活動が行えるとのことで、現在3つの自治体と結んでいる防災協定について、7つの広域自治体、2つの政令指定都市との協定締結作業を準備中である。自衛隊との災害支援協定も2019年の東部方面隊、2024年の第10師団、南海トラフ地震を想定し第3師団とも締結した。さらに、民間事業者や団体からなるドローンによる大規模な災害支援体制を整備し高度かつ効果的な災害支援を可能とするドローン民間防災組織「JUIDA-D³(ジュイダ・ディーキューブ)」の設立を準備中とのことで、今後も災害支援活動に力を入れる方針を発表した。

スライド:2014年から2024年までの毎年のスローガン
これまでのスローガン。今年のスローガンは「未来創生元年」。

 今年のスローガンは「未来創生元年」。鈴木理事長は「毎年その年のテーマに沿ってスローガンを公表しており、今年は11年目として新たなスタートを切るということで『未来創生元年』をスローガンとして掲げたい。JUIDAの活動を通してドローンや空飛ぶクルマの産業育成、社会貢献に活動していく。産業振興に向けてこれまで以上に活動を続けていく」と話した。

 鈴木理事長の挨拶に続き、国会議員や中央省庁の代表など5人の来賓が登壇した。来賓は以下の通り。

  • 衆議院議員 無人航空機普及・利用促進議員連盟 会長 田中和徳氏
  • 参議院議員 無人航空機普及・利用促進議員連盟 顧問 山東昭子氏
  • 参議院議員 無人航空機普及・利用促進議員連盟 会長代理 鶴保庸介氏
  • 経済産業省 製造産業局 航空機武器産業課 次世代空モビリティ政策室長 滝澤慶典氏
  • 国土交通省 航空局 安全部 無人航空機安全課長 齋藤賢一氏
写真:壇上で話をする田中氏
衆議院議員 無人航空機普及・利用促進議員連盟 会長 田中和徳氏。

 田中氏は「JUIDAが設立された10年前といえば、ドローンなんて何のことかわからないというのが一般的だったと思います。それが今では、ドローンのない社会などイメージがわかないほどです。自治体ではドローンを扱う部署があり、企業についてもドローンを利用しつつビジネスを行っている時代です。モノづくりの面においては中国やアメリカなどいろいろとありますが、日本は日本独自の知恵を絞りメーカーとしても利活用の面でも世界に発信できればと思っております。ドローンに携わる皆様がこの仕事を選んでよかったと思える、またビジネスとしても成功できる時代を作っていければ、日本におけるドローンが世界に向けて発展できると期待しています」などと述べた。

写真:壇上で話をする山東氏
参議院議員 無人航空機普及・利用促進議員連盟 顧問 山東昭子氏。

 山東氏は「ドローンは今では防災であるとか日常生活に密着したものであるとか、なくてはならない産業となりました。ただ、日本は平和を前提にビジネスをしたために世界のマーケットへの道が閉ざされてしまっている気もします。我が国のドローン技術は素晴らしいので、軍事、というと語弊があるかもしれませんが、防衛という意味から国益を守る、国民の命を守るという点で、いつ、どこでも、どんな問題に対応できるいろいろなドローンを開発、研究が進むことを期待しています」と述べた。

写真:壇上で話をする鶴保氏
参議院議員 無人航空機普及・利用促進議員連盟 会長代理 鶴保庸介氏。

 鶴保氏は「私事ですが2012年に国交省の副大臣をしておりまして、その時にアメリカでドローンの法律の整備が進んでいると知りました。2013年にアメリカの法律要項を取り寄せ、日本でもドローンの整備が必要ではないかというのが私にとってのスタートとなり、法整備のためにドローン議連が発足しました。今後も皆さんの提案を受けて政策に反映させていきたい」と述べた。また、牧島かれん元デジタル相が無人航空機普及・利用促進議員連盟(ドローン議連)副幹事長として寄せたメッセージを司会が代読した。

写真:壇上で話をする滝澤氏
経済産業省 製造産業局 航空機武器産業課 次世代空モビリティ政策室長 滝澤慶典氏。

 滝澤氏は「能登半島地震ではJUIDA、会員企業とともに災害対応に多大な貢献をいただきました。このような取り組みが大きく評価され、中央防災会議の災害対応検討ワーキンググループの報告書では、今後の災害対応の方針としてドローン活用の推進がうたわれました。民間ドローンの活用がさらに進むように、経産省としても関係省庁と連携して取り組んでいきます。また、昨年11月には官民協議会において、ドローンの一層の利活用に向けて『空の産業革命に向けたロードマップ』を再構成しました。経産省ではReAMo、SBIR、K Programなどを通じて主に技術開発を行っておりますが、これらの制度が社会実装に結び付くように取り組みを進めていきたいと思っております」などと述べた。

写真:壇上で話をする齋藤氏
国土交通省 航空局 安全部 無人航空機安全課長 齋藤賢一氏。

 齋藤氏は「航空局としては引き続き安全性を十分確保しつつ、進歩の早いドローン活用にあたり、制度を満たしていくことを通じて、ドローンの利活用がしやすい環境の整備を行ってまいります」と述べた。

写真:壇上で話をする青木氏、その後ろに並ぶ来賓や鈴木氏、千田氏
乾杯の挨拶を行うJUIDA青木義男顧問。
写真:参加者が名刺交換をする様子
写真:会場の様子
参加者は活発な意見交換など歓談していた。
写真:壇上で話をする千田氏
最後にJUIDA千田泰弘副理事長が閉会の挨拶を行い終了となった。

 来賓挨拶の後には、JUIDA青木義男顧問が乾杯の挨拶をし、歓談の時間となった。歓談の時間には、JUIDAと協力覚書を交わしている国際パートナーからのメッセージを会場内スクリーンで紹介。さらに、Drone Movie Contest 2024の受賞作品並びにファイナリスト作品が上映された。最後に、JUIDA千田泰弘副理事長の挨拶で新年の集いは終了となった。