機種別操縦ライセンスの制定に向けた国内ドローンメーカーらとの戦略的提携MOU締結や、クラウドモビリティ研究所の開設など、2024年もドローン業界を牽引したブルーイノベーション。ジャパン・ドローン関西では、九電ドローンサービスと並びのブースで出展。屋内点検用の球体ドローン「ELIOS 3」がデモンストレーション飛行できるスペースを2社のブースにまたがって設けて、安定した飛行姿勢をアピールした。
ブルーイノベーション、関西展示会初出展の狙い
じつはブルーイノベーションとしても大阪の展示会に出展するのは初めて。「関西での知名度を上げるため、まずはELIOS 3の性能がしっかり発揮できる展示ブースにしました」と担当者はねらいを説明した。とはいえすでにELIOS 3の名前は広く認知されているようで、すでに導入した事業者から飛行時の安定性が優れているといった評価を直接受けた担当者もいた。
ELIOS 3については、2024年5月から超音波を使用して鉄板などの厚さを測ることができる専用のペイロード「UT検査ペイロード」の運用サービスや販売サービスを開始した。このほかにも様々な分野の点検で使用できるのがELIOS 3の強みであり、関心を示す事業者も多かったそうだ。
関西の来場者の印象を尋ねてみると「『ドローンはこんなに進化しているんですね』という感想を持つ方が多くて、大都会の大阪なのにと驚きました。もしかしたら農薬散布機などで地方の人たちのほうがドローンを見慣れているのかもしれません」(担当者)。もちろんドローンの導入がビジネスになるか、実益に結びつくかを見極めようとしている来場者も多いようで「導入を具体的に考えていて、出展されている機体やソリューションを実際に見て確認し、比較検討しているという事業者の方もいました」(担当者)。
ドローンの価値観が変わるドローンポート「DJI Dock 2」
ELIOS 3と並び注目を集めていたのが、ドローンポート「DJI Dock 2」だった。自動給電や自動航行にも対応するドローンポートシステムは関西方面で見る機会が少ないらしく「(人形劇ドラマ)『サンダーバード』みたいという感想をいただきました。でも5年ほど前から望んでいた『ボタンひとつでドローンを遠隔操作する』という世界観がいよいよ実現しはじめて、皆さんの期待の高さを感じます」と、担当者も今後の展開に胸を膨らませる。来場者からは屋上に置いて使用したいという意見もあがったという。
そのほか、DJI社の製品を使用したソリューションとして、送電線点検ソリューション「BEPライン」が展示されていた。機体にはDJI Matrice 300 RTKを使用し、独自開発の送電線追従モジュールを搭載している。送電線の点検は、たるみや風による揺れがあり、正確に追従するのが難しいとされているが、それらを解決したソリューションとなっている。
“ドローン防災”セミナーで高まる関心
ブルーイノベーションでは千葉県一宮町と協力し、独自開発するドローンポート「BEPポート」を使った津波避難広報ドローンシステムを2025年度から導入すると発表している。また、会期中、ブルーイノベーション柴﨑誠ソリューション営業三部部長による「“ドローン防災”最前線」セミナーも開催され関心が高まったことを受け、災害対応にドローンポートを取り入れる仕組みについても、問い合わせが相次いだ。
DJI Dock 2の登場により、2024年はドローンポートに大きな注目が集まった1年だった。能登半島地震で被害を受けた道路の復旧工事でも活用が進んでおり、災害時の有用性に関心が寄せられている。一方で、平時における活用方法がまだ見通せないところもある。2025年はより具体的なドローンポートの活用方法についての議論が深まることを期待したい。
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