UAVにまつわる無線操縦装置やフライトコントローラーなどを自社で開発しているTKKワークス。Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2024 in 関西では、同社が開発した無線操縦装置などを展示した。
非GPS環境下でもつながる無線操縦装置
東京航空計器のグループ会社として誕生したTKKワークスだけに、無線技術には大きな強みを持つ。その強みを生かし、総務省が割り当てた「無人移動体画像伝送システム」に対応した無線操縦装置プロポ(169MHz)、テレメトリ無線機(2.4GHz)、画像伝送装置(5.7GHz)を開発。Japan Drone 2024 in 関西においても、プロポやテレメトリ無線機などを展示した。
ドローンの通信方式としては、BluetoothやWi-Fiが使用されることも多いが、それらの通信手段は屋内空間や山間地域では使えないことがある。一方で、モジュールから自作している同社の無線操縦装置は、屋内環境や山間地域においてもつながり、ドローンを飛行させることができる。
そんなTKKワークスが現在進めているのが、山岳エリアなどでの巡視点検が可能となる「次世代通信システムを導入したドローンの開発」だ。山の中に設置された電波塔などは、直接波による通信が困難なため、現在は有人ヘリなどで点検が行われており、リスクもコストも高いとの問題があった。
そこで同社は、電波干渉や混信を防ぐ指向性アンテナを用いて、地上局と作業ドローンを中継ドローンで繋げる無線システムを開発。これにより、通常では難しかった長距離巡視点検が可能となる。
また同社では、顧客の要望に合わせたカスタムコントローラーや機体設計も得意としている。コントローラーでは周波数帯や給電方法、防塵・防水設計など細かな調整ができ、少量からのODMを受け付けている。
TKKワークスの製品は、「物流」や「農業」といった、特定の用途に限定されない。ブースでは三井化学が材料である炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)を提供し、TKKワークスが設計を担当した製品も展示していた。
そのほか、2024年10月に開催された福島国際研究教育機構(F-REI)主催の「ワールド・ロボット・サミット(WRS)過酷環境F-REIチャレンジ プレ大会」で使用された機体にも、同社の製品が使用されたという。このチャレンジは大規模な災害による困難環境下で活躍するロボット・ドローンの開発などを目指すもので、同社の“Wi-Fiなどが機能しない環境でも作動する”との利点が大いに生かされる。
同社社長の前田和則氏は「私たちは縁の下の力持ちとして無線で困っているメーカーさんを支え、世の中のドローン産業の発展を下支えする唯一無二の会社を目指していきたい」と話した。
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